私は大学時代、経営学部に在籍し、マーケティングや金融工学を学びました。
その後、新卒採用でIT企業に入社。商社関連の事業サポートやディレクションなどを行っていました。
仕事を通じて、世界の農業問題や経済摩擦の現状に触れるうちに、日本の農業の未来に不安を感じるようになり「元気を失いつつある日本の農業をなんとかしたい!」と一念発起。
20代後半という若さを活かして、農業ビジネスに思い切って挑戦することにしました。
全国の農家が自由価格で登録できる産直ECサイトの立ち上げや、農家と農業プロデュース希望者のマッチング、ベテラン農家の知恵袋サポート、レストランとの連携メニュー企画などのプロジェクトを企画して、企画書を片手に、飛び込みで農家さんを訪ねていますが、なかなか話を聞いていただけない状況が続いています。
農業ビジネスに関する実績がないままこの業界に飛び込んだので、ある程度の苦戦は想定していましたが、思っていた以上に農家の方に理解してもらえず、自分がこれまでいた業界との違いに驚いています。
農協など古くからある組織の壁を飛び越えて営業をしています。
もちろん、これからも諦めずに一軒でも多くの農家さんを回って行く覚悟ですし、もっと農家さんの気持ちを理解するために、私自身も小さな農園を始めました。
農家の皆さんに話を聞いていただけるような心構え、アプローチ方法などがあればアドバイスをいただきたいです。
(兵庫県・大西さん/仮名・20代)
村山邦彦
伊賀ベジタブルファーム株式会社
まずは学ぶ心と課題解決を一緒に取り組む姿勢が必要
もし「ITビジネスに関する知識はないけど、飛び込みでITエンジニアをサポートするビジネスを立ち上げます」と知らない人から言われても、話を聞いてくれるエンジニアは少ないと思います
これは、農業の世界でも同じです。最初から何かを「やってあげよう」とするのではなく、農業者や流通業者の技術や経験に尊敬(リスペクト)を持って学ぶ気持ちを持って、彼・彼女らが課題と捉えていることに一緒に取り組む、という姿勢が大事なのではないでしょうか。
社会的に見て、農業の世界に大きな課題があると感じているとしても、それが現場の課題感とうまく接続できなければ、ビジネスとして成立させるのは難しいと思います。
これから農業ビジネスを行なっていくというのであれば、短期でも構わないので、まずは一線の農業法人や流通関係の企業でインターンシップをしながら、生産や流通がどのような仕組みで動いているかをしっかり把握してみるのもありではないでしょうか。20代後半とまだ十分若い段階でのチャレンジですから、それだけの価値は十分あると思います。
そうしたプロセスを経るなかで課題の全体像を明確につかんで、誰もが納得する具体的な解決策を提示していく、という姿勢が必要ではないかと思います。