父と一緒に稲作や約30〜40品目の野菜作りなどを行っています。父は60代後半ですが、かなり元気です。
しかしここ数年、腰が曲がってきたように感じたらしく、腰痛ベルトを購入して農作業や日常生活で装着しています。
さらに最近、父が「農作業もキツくなってきたので、アシストスーツを購入して、腰痛ベルトとの合わせ技で作業をしようかな」と言い出しました。
さすがに、アシストスーツと腰痛ベルトの併用は身体に負担をかけすぎて逆効果になりかねないと思い、止めているところなのですが、父がYoutubeで「サポートジャケット」の動画を見てしまい、購入したいと言ってきました。
そこで、アシストスーツと腰痛ベルトを併用する場合の危険性や注意ポイントを教えていただけないでしょうか。
(宮城県・田中さん/仮名・30代)
逢坂大輔
株式会社シーエフロボタス
アシストスーツと腰痛ベルト、作業のキツさに合わせた使い分けの技を!
60歳代後半のお父様、ここ数年で腰が曲がってきた自覚がでてこられたようですね。さぞ前傾姿勢や中腰での姿勢が多い作業に励まれてきたのでしょう。
まだまだ現役でバリバリと活躍できる年代かと思いますので、身体にも自信を持って野菜作りや水稲に取り組んでいただきたいものです。
さて、腰痛ベルトとアシストスーツの合わせ技についてですが、作業のキツさに合わせて使い分けることはOKだとお答えします。ただ、重ねて装着することはやめておきましょうね。
腰痛ベルトやアシストスーツは身体へのフィットがとても大切です。インナーに滑る素材を着用していたり、ズレた装着のままでは意味をなさないほどにフィット感は重要です。ズレが生まれるようであればサポート力や動きへのアシスト伝達力はぐんと減ってしまいます。
そのためメーカーさんはズレないような素材の工夫やしっかりとフィットが得られるようにサイズ調整の工夫をされています。
腰痛ベルトの上にアシストスーツを着込んでも、アシストスーツがフィットせずに適切なアシストを発揮できません。その結果動きにくくなってしまい、窮屈な姿勢で作業をすることになるかもしれません。
腰痛ベルトやコルセットといったタイプのものは、腹部を適度に締め付けて良い姿勢をサポートしてくれます。立ち仕事や少し前傾しての作業といった、あまり動き回らない作業に適しています。
一方、アシストスーツは少しの前傾よりも、さらに前に屈んだ姿勢や中腰を続ける作業、ある程度の重量物を持ち上げて運搬する作業などに適しています。
どちらも利点がありますので、使い分けていくことで問題はないでしょう。
つまり、軽作業では腰痛ベルトを使用して、前傾姿勢や持ち上げ等の負荷のかかる作業には腰用のアシストスーツを使用する、切り替えの技を使っていただくのがよろしいかと思います。
なお、医療関係者の間では、腰痛ベルトなどのコルセット類を使い続けると、腹筋が弱るということが長年言われています。腰痛などの自覚症状が無いのにベルトを常に使うことは控えておく方がよさそうです。あまり依存しないようにしてくださいね。
そして、余裕があればもうひと技を。身体メンテナンスに取り組んでみてください。
長年の作業による負荷の蓄積で腰が曲がってきたりされているのかとも思います。
股関節や腰のストレッチ、体幹あたり(腹筋・背筋・お尻筋)と大腿部の筋トレに取り組むのもよい方法です。最近は70歳を過ぎてからでも筋トレなどの身体づくりに励まれるシニアの方が増えています。健康寿命を伸ばすため、就農できる体力を維持するために取り組まれたりしています。
相談者さんのお父様に運動への制限が無いようであれば取り組んでみてください。