有機農家の息子として生まれましたが、専門学校を卒業してしばらくは農家を継ぐことに興味がなく、食材宅配の会社で企画や運搬の仕事をやっていました。
そこであらためて自分の親の仕事のことを考えるようになり、生産者の畑で農業体験をさせていただくうちに、脱サラを決意。
2021年に農家になった新規就農者です。
今は実家のある宮城県の都市近郊で、親に教わりながら、ブロッコリーやキャベツ、かぼちゃ、枝豆などを作っていて、ときどき農作業の様子をYouTube(ユーチューブ)に公開したり、Instagram(インスタグラム)で発信しています。
いつか、前の職場で自分が作った野菜を取り扱ってもらいたいなと考えてますが、それもあって動画に映るときの作業着についても、気を使うようになりました。
ただ、普段の作業はいいのですが、農薬散布の時は何を着たらいいんでしょうか?
妻に子供ができたので、家に持ち込むことも気をつけた方がいいだろうなと思っています。
農薬専用の服装なんかあるんでしょうか?
(宮城県・岩山大吾さん/仮名/20代)
松淵定之
農薬工業会 安全広報部
農薬散布の専用服はないが、「安全使用上の注意」のラベルを確認して
薬を散布するときの服装に決まりはありませんが、肌を露出しないよう長袖・長ズボン、農薬用マスク、手袋(ゴム手袋や使い捨て手袋+軍手など)、帽子をおおすすめしています。また、夏場など高温時には熱中症対策として、涼しい時間帯での作業、作業前に水分を取るなどに留意してください。
製品によっては、「安全使用上の注意」のラベルに「防護マスク、防護メガネや不浸透性手袋、不浸透性防除衣などを着用する」と書かれているものがあります。その場合は、注意事項に従ってください。
また、そういった製品には、注意喚起マークも記載されています。なお、農薬用マスクや防護マスク、不浸透性手袋、不浸透性防除衣には、JIS(日本産業規格)などで推奨される規格が設定される見込みです。
農薬工業会で作成している保護具についてのリーフレットでは、マスクや防除衣、保護メガネ、手袋、靴を選ぶポイントについてまとめていますので、こちらを参考にしてください。
また、「農薬の正しい使い方」を紹介する動画も参考になるでしょう。
注意事項に何も書かれていない場合であっても、料理のときにエプロンをつけるように、散布作業の際は、できるだけ農薬と接触しないように長ズボン・長袖の作業衣、保護具(農薬用マスク、手袋など)を着用するようにしてください。
最近では、作業服を専門に扱うワークマンやホームセンター、インターネット通販でも、農薬散布用の防護服を販売されています。または、洗濯できる防護服というものも発売されるようになりました。
ご相談者さまは農薬散布用の衣服を家に持ち込むことを心配されていますが、農薬によってはラベルの「安全使用上の注意」の欄に、「農薬で汚染された衣服は脱ぎ、再使用する場合には洗濯すること」などと書かれています。
その場合は、注意事項の指示に従っていただくのは当然ですが、農薬を調整・散布した後の衣服は、他と分けて洗濯することをおすすめしています。
農薬散布用の衣服は「これ」と決めておいて、常に他のも衣類と分けて管理するのが望ましいと思います。また洗剤については一般的な洗濯用の洗剤で構いません。