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刈払機のチップソーを交換する時期はどう判断すべきですか?

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刈払機のチップソーを交換する時期はどう判断すべきですか?

8ヘクタールほどの田んぼで稲作専業の農家をやっています。

中山間地域で耕作しているので、1枚1枚の田んぼは、1〜3反ほどと小さいのですが、一方で畦や土手は広いため、夏場は草刈りに明け暮れる毎日です…。

自走式の草刈機も使っていますが、モアでは刈りづらい場所も多いので、刈払機を使う作業も欠かせません。

しかし、草刈り中にコンクリートや石、金属などの硬いものに当たりやすく、いつの間にかチップソー(丸ノコギリ)のチップ(歯)がすり減ったり、チップが脱落したりして、切れ味が悪くなってきます。

そんな時は、良くないとは思うのですが、エンジンの回転数を無理やり上げて、草を刈っています。実際、作業効率も、燃料効率も悪いような気がします。

なるべく早めに交換しようとは思っているのですが、新しいチップソーに交換する時期をどう判断したらよいのか教えてください。
(山梨県・坂本浩明さん/仮名・60代)

松澤 努

農機具屋

チップが飛んで無くなったら即交換。新品購入後は低速回転で慣らし運転を!

まず初めに刈払機の刈刃についてお話しします。

刈刃には外径9インチ(230㎜)と10インチ(255㎜)2種類がありますが、刈払機の排気量の大きさによって使い分けます。

刈払機の排気量が25㏄以下の場合は9インチ、25㏄以上の場合は10インチがおすすめです。

排気量の小さい刈払機に10インチの刈刃を付けても動くには動きますが、刈刃が回転不足になったり、ギヤケースやシャフト、クラッチ、エンジンなどに必要以上の負荷がかかったりして、故障の原因になりかねません。また、エンジン回転を上げた時に刈払機本体が揺れ動きやすいので注意しましょう。

大きな刈刃の方が作業効率は良い一方、刈払機の寿命が短くなります。

小さな刈刃だと、細かな場所や作物の近くの雑草を刈る場合に入り込みやすいため重宝します。

一枚の刈刃に通常32~40チップ(多いもので52~60チップ、最高100チップ)が付いています。32Pや40Pなどと表記されているのがチップの数です。
このチップの取り付け方により、片刃、両刃、千鳥刃に分かれます。

チップの数が多い方がよく切れますので、52P以上になると、山の下草刈りなどで使われます。

チップの材質は主に、タングステンカーバイトという非常に硬い超鋼合金が使われています。

チップソーはチップが丸くなると草が刈りにくくなります。そのためエンジンの回転を必要以上に上げて作業しなければならず、どうしても作業者の負担も大きくなります。よく切れるチップソーなら、低速回転から中速回転で十分作業できます。

切れ味が悪くなったと思ったら、専用の工具(チップソー研磨機)を使ってこのチップの先端面とすくい面を研磨するとよいでしょう。

もし石やコンクリートの壁などに当たってチップが飛んで無くなっているような場合には、速やかに交換しましょう。そのままの状態で使っていると、振動が出て振動障害(白ろう病)と言って、血管の運動障害で手指が痺れたり、深刻な場合は壊死する病気を引き起こす場合があるので注意が必要です。

では、チップソーを長持ちさせるにはどうしたらよいでしょうか?

新品のチップソーを刈払機に取り付けたら、いきなり高回転で作業をするのではなく、まずは低回転で柔らかい草を刈って慣らし運転を行いましょう。

目安として燃料が半分なくなるくらいまで(時間にすると1時間ぐらい)、エンジンの回転はアクセルレバーの半分以下で作業を行います。その間は、石などの硬いものに当てないように気をつけましょう。

このように慣らし運転をしている間に、チップソーがなじんで粘りが出てきて(つまりチップソーのチップが数ミリ摩耗して外周がきれいに揃ってきて)、刈刃にかかる負担が均一になり、その後はチップが飛びにくくなります。

よくホームセンターなどで2枚1,000円程度で安いチップソーが売られていますが、これらのすべてがとは申しませんが、総じてチップの取り付けが甘く、石に当たった瞬間にチップが飛んでしまうことが少なくありません。これでは安物買いの何とかで、仕事になりません。

お勧めは少し高めのチップソーを購入し、切れなくなったら研磨して使うことです。上手に使えば3~4回は研磨して使用できます。ぜひお試しください。

なお、圃場に石やコンクリートの壁があるような場合には、ナイロンカッターもお勧めです。太い草までは刈れませんが、チップソーが石などに当たって発する嫌な音はしませんし、きれいに刈り取れます。

ただし、ナイロンカッターを使うと草や小石が作業者の方に結構飛んできますので、使用する際はエプロンやフェイスガード、長靴などをしっかり着用して、身の安全をしっかり守って作業して下さい。

そのほか、一般金属の刈刃もあります。種類としては2・3・4・8枚刃、笹刈刃、鋸刃などがあり、刈刃にチップが付いていないので、刃が切れなくなったら磨いで使うことができます。

田んぼの畦などの草刈りの場合、2・3・4・8枚刃を使うと切れ味が抜群です。ただし、石などに当たった時の衝撃が大きく、小石などの飛散も多いので、事前に圃場を手入れしておく必要があります。

一方、山林内での作業や河川敷などの草刈り作業には、笹刈刃や鋸刃などがお勧めです。直径5㎝ほどの立ち木ならスパスパと刈ることができます。

笹刈刃は8~10㎜の丸ヤスリで簡単に研磨できます。アサリを出せばなお切れ味がよくなります。鋸刃も手間はかかりますが、専用のヤスリで研磨すればとてもよく切れます。



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