北海道でスイカを栽培しています。最近、静岡で「すいかの空中栽培」に成功したというニュースを拝見しました。
空中栽培ができれば害虫がつきにくく、病気になりにくいとのこと。
また、一玉につき少ないスペースで栽培でき、畑に余裕が生まれその分たくさん栽培できるとのことでした。
それが本当ならば、ぜひうちのスイカも空中栽培を取り入れたいと検討しているところです。
しかし、ひとつ懸念点があります。うちのスイカは「でんすけ」という大玉だということです。
大玉のスイカでも、空中栽培はできるものでしょうか?また大玉品種の空中栽培が可能な場合、支柱の組み方含め他にもどのような工夫が必要か気をつけるポイントなど教えていただきたいです。
(北海道・藤原辰俊さん/仮名・50代)
小泉富生
小泉農園-わがままいちご
すいかの空中栽培は成功すればメリットたくさん!足場パイプやネットを活用してぜひチャレンジを!
私がスイカの空中栽培を思いついたのは、マイクロシードでタネまで食べられる小玉スイカの「ピノ・ガール」に出会ったことがきっかけでした。
以前「坊ちゃんかぼちゃ」をキュウリ用のネットを使って栽培した経験があり、スイカにも応用できるのではないかと考えたのです。
まず取り掛かったのは、セル苗を4寸ポットに鉢上げし摘心して4本仕立てにすることから。
約3週間後に株間60cmでトンネルに定植しました。しばらく育てたのち、トンネルを撤去してアーチ状の支柱とキュウリネットをセットして誘引。アーチの頂上まで到達したら、反対側へ下向きに伸ばします。わき芽はすべて除き、1つるに3~5玉なるように。それより多くなったときは摘果しました。
カボチャと比べてスイカはヘタの部分が弱いので、落下防止には工夫が必要です。私は実が卵くらいのサイズのときにタマネギ用のネットに入れて、支柱に設置した横向きのパイプや針金に結びつけ、ぶら下げるようにして固定しました。
小玉スイカでも、露地で雨がたくさん降ったりすると3kgを超えるものもあります。想定外に大きくなったスイカは、重みで下に落ちて割れてしまうこともありました。ですので、ネットの上から更にスイカを入れる網紐のネットを購入し、パイプに結んで補強しました。
北海道にはいろいろな資材があると思いますので、タマネギ用のネットに限らずさまざまなもので試されると良いかもしれませんね。
ピノ・ガールなどの小玉スイカは重さが2kg程度なので、上記の方法で問題なく空中に吊るすことが出来ました。藤原さんが育てていらっしゃる「でんすけ」は、おそらく5〜8kgあるかと思います。
重さがずいぶんと違うので、できるかどうかは実際にやってみないと分かりませんが、空中栽培は着果日時の判断や樹勢の管理、防除など、作業がとても楽になりますし、収穫時には一輪車などを横付けできるので、作業効率も腰への負担もぐんと減ります。
また、吊るすことによって実と周りの接地面が少なくなり、まんべんなく実に日光が当たるので糖度が高く、甘くておいしいスイカに育ちます。成功すればメリットも多いので一度試してみる価値はあるのではないでしょうか。
トライされる際には、うちの農園で使っているような細いパイプではなく、しっかりした足場パイプを使用されるのがよいと思います。空中栽培が成功するよう、祈っております。