茨城県で自然薯などを中心に栽培しています。土にこだわり、化学肥料や農薬をできるだけ使わず、地元の畜産農家からもらった完熟たい肥を使っているのが自慢です。
自然薯は折れたり傷つきやすいので、掘る作業には細心の注意で行っています。
掘る手順は、株のまわりの25〜35センチぐらい離れたところからスコップを入れ、慎重に掘り進めていきます。
そして芋の先端を見極め、注意しながら土を取り除いていきます。まるで遺跡発掘のようなデリケートな作業です。
そのため、腰にかかる負担はかなりのもので、いままでも腰痛に苦しめられてきました。自分なりに筋トレをして痛みを悪化させないように努めてきましたが、50代後半にもなり、限界を感じるようになりました。
そこでアシストスーツを導入してみようかと考えています。しかし、重いものを持つわけではないので、腰の上げ下ろしを繰り返し行う作業には効果があるのでしょうか?
(茨城県・伊東さん/仮名・50代)
逢坂大輔
株式会社シーエフロボタス
腰に付けるタイプの農作業用椅子と膝パッドの合わせ技が効果を発揮します
自然薯掘りの腰への負担はかなり大きそうですね。しかし残念ながら、長時間しゃがんだ姿勢が続く作業の負荷を軽減してくれるアシストスーツ製品はございません。
身体を前傾した中腰姿勢を保持する機能をもった製品はあるのですが、深くしゃがみ続ける作業を妨げてしまう恐れがあります。
アシストの発揮によって姿勢が窮屈になってしまっては本末転倒です。
身体をメンテナンスする専門家としてお話をさせていただくと、しゃがんだり膝をついたりして土壌を触る作業は、手を前に出す姿勢のために重心の位置が前方になります。
作業ポイントが身体よりも離れることで、腰への負担が増えてしまいます。両手を使った長時間の作業となると、負担はさらに大きくなるでしょう。
これは持ち上げや運搬作業で荷物を身体に近付けて持たないと腰が辛くなってしまうことと同じ理屈です。
こういった場合、お尻の部分をどこかに接触させることで腰への負担を減らすことができます。
つまり、今回のようなケースでは「腰に付けるタイプの農作業用椅子」の使用が良さそうです。
腰を支えようとする力は少なくて済みますし、さらに椅子を移動させる必要もありません。腰痛も生じにくくなるでしょう。
製品によっては椅子の高さを変更したり、クッションの硬さを調整できるものもあります。
さらに膝をしっかり接地させることも必要かと思いますので、膝パッドを併用することも有効となります。