広島市でさつまいもの苗を生産している農家です。
毎年、数万本のさつまいもの苗を生産するだけでなく、少量多品目で、たけのこやにんじん、ベビーリーフの栽培を行なっています。
しかし、基腐(もとぐされ)病が流行しているため、種芋から種苗を生産するのが怖くなってしまいました。
そこで、ウイルスフリーのポット苗を利用した育苗方法に変更したいと思っています。
ポット苗の育苗には、伸びかけの苗を摘心させ、それをまた親株にする増殖法があるらしいのですが、イマイチやり方がわかりません。
詳しい方法を教えてください。
(広島県・梶山さん/仮名・60代)
山川 理
山川アグリコンサルツ代表、農学博士
手間はかかりますが、確認作業をしながら行いましょう
さつまいものポット苗の増殖はけっこう手間がかかります。
まず早めに(2月ごろ)病害虫のいない苗床を準備します。
買ってきたポット苗を定植し、暖かく保温して十分に潅水をします。
苗が30cm以上に伸びたら数節を残してカットし、増殖用にさらに2節ずつにカットして、1節を土に植えこみます。
この作業を繰り返していきます。土は乾燥させないようにしてください。
カットに使った親苗には硫安(硫酸アンモニウム)の水溶液を施肥して下さい。
健全な種芋を綺麗な床土に植えこめば、基腐病は決して出ません。
種芋は表面が綺麗なことはもちろんのこと、なり口(しょ梗/ツルから、紡錘形に芋が膨らみ始める部分)を少し深めにカットして、褐変など異常がないことを確認してください。
更に心配ならば45度の温熱水で消毒を15分間行ってください。
また苗床はこまめにチェックし、苗の地際部(株元と地面が接する部分)が黒く変色、腐敗していないか確かめて下さい(定植してからも引き続き注意が必要です)。
変色があれば、種芋ごと引き抜いて廃棄するようにしてください。