長崎でおもに西洋野菜を栽培しています。
今年から、サツマイモの作付けを拡大したいと思っています。
寒い時期は、収穫したサツマイモに布団代わりの土をかけて保温することで糖度が高まり、甘さがピークに達した段階で販売していました。
問題は、春から夏にかけての収穫したサツマイモの保存方法です。そのまま保存すると芽が出ることは分かっています。
うちには野菜冷蔵庫しかないのですが、寒さに弱いさつまいもをそのまま冷蔵庫に入れて保存してもいいのでしょうか?
もしくは、それ以外に何か良い状態をキープする、さらに美味しくなるような保存方法があるのでしょうか?
保存期間による品質への影響についても知りたいです。
(長崎県・三河さん/仮名・40代)
山川 理
山川アグリコンサルツ代表、農学博士
お金をかけずに自分でできる簡単な貯蔵方法があります!
春から夏のさつまいもの貯蔵は、貯蔵に適した設備があれば簡単です。
さつまいもには、収穫時についた傷口から腐敗しやすい性質があります。そのため、長期貯蔵するためには、傷口を治すことが最優先。
キュアリング処理はこの傷口を自然治癒(キュア)させる方法で、収穫後のさつまいもを適当な温度、湿度(室内温度30℃、湿度95%以上)の環境で2日ほど貯蔵庫に保管するだけです。
これにより、傷口の表皮下にコルク層ができ、傷口が自然に治ります。
その後、貯蔵庫の温度12℃前後、湿度90%前後に調整して引き続き保管します。これにより、病原菌などの侵入を防ぎ、長期間の貯蔵が可能となります(キュアリング貯蔵)。
こういった施設は、茨城県行方市のようなさつまいもの大きな生産地では国の補助金で作っています。
ちなみに、私のところでは、2階の部屋に段ボールを使って小さな貯蔵庫を作り、段ボール箱10個くらいに収穫後のさつまいもを保存しています。
貯蔵庫には、温度調整付の温風ヒーターを10℃に設定して設置していますが、熱は上部から逃げるので、貯蔵庫の上には断熱材がわりにエアクッションを敷いてフタをしています。
段ボールの底には新聞紙を敷き、さつまいもを詰めた上にまた新聞紙を載せて乾燥を防ぎます。もみ殻を入れれば万全ですが、もみ殻がなければ細断した紙くずを入れても良いでしょう。
1個の段ボールには15kg前後のさつまいもを入れます。これ以上だと積み上げたときに段ボール箱が壊れてしまいます。また、積み上げるのは3段までです。
なお、収穫後のさつまいもは2日ほど陰干しして、土を乾燥させます。湿った土をつけておくとカビが生えますから注意して下さい。
このように、高価な設備を購入しなくても、専用貯蔵庫の自作は簡単にできます。