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30年かけて揃えた農機具を処分したくない。どうしたら引き継ぐことができますか?

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30年かけて揃えた農機具を処分したくない。どうしたら引き継ぐことができますか?

広島県で農業をやっている者です。30数年前、Uターンで農業を始めましたが、鍬と鎌しか倉庫になかったので、徐々に農機を増やしていきました。

特に米作りには田植え機や乾燥機、籾摺り機、穀物冷蔵庫など機械がないとできない作業があります。

米作りを本格的にはじめたきっかけは、2011年に発生した3.11の震災でした。被災した友達にお米を送ると、感謝の言葉をもらえたからです。

乗用田植え機と乾燥機を導入し、30余年かけて農機が徐々に揃ってきたところですが、12人いた町内の水稲作付け者は2人だけになり、みんなで管理していた溜池の管理も、90歳に近いもう一軒の農家さんと私のみで行っています。

しかし、私の息子たちが農家の後を継いでくれるかというと、可能性はゼロに近い状況です。

財産をつぎ込んで買い揃えた農機が、一代で処分されてしまうかとを思うと、死んでも死に切れません。

こういった農機具を次世代に引き継ぐ方法があれば教えてください。
(広島県・吉田猛さん/仮名・60代)

松澤 努

農機具屋

購入した農機具店や中古農機具店に相談を。行政に相談する手もあります

中古農機具の今後の活用ですが、農機具店に買い取ってもらうケースも最近では増えてきております。ただし、ちょっとしたトラブルも少なくないので、注意が必要です。

例えば、農機具買取専門店にトラクターの買取をお願いしたある農家さんは、査定時に「買取価格ゼロ円」と提示されたそうです。

理由を聞いたら「年式的に古いため、再利用ができない」「農家を訪問するまでの出張査定の経費がかかっている」とのこと。

農家さんは「何でも買い取ってくれるとチラシに書いてあるじゃないか」と食い下がったそうですが、結果は買取ゼロ円。古いトラクターがあっても仕方ないので、渋々、無料で引き取ってもらったそうです。

逆に、買取専門店の査定ではゼロ円だったのに、近所の農機具店では高い金額で買い取ってもらったという話も珍しくありません。

買取る側は、なるべくお金を払いたくないので査定額を低く見積もることはよくあります。

そこで、中古農機具を買い取ってもらう際には、あらかじめ電話で、「メーカー」「型式」「使用時間」「オプション」などを伝えて、だいたいの相場を把握しておくことをおすすめします。複数の買取店で比べるのもいいでしょう。

農機具が不要になったら、以下の選択肢があるので参考にしてください。

1:近所の農機具店や購入した農機具店に相談
農機具店は顧客を持っていますので、そのなかには中古農機具の購入を希望しているお客さんがいることも把握しています。

中古農機具が市場に出るのはタイミング次第なので、売却したい場合は、前々から相談しておくと良いでしょう。

先方の購入したいタイミングと、相談者の売却したいタイミングが合致すれば、農機具店は在庫として置いておく必要がなくなることから、買い叩かれるリスクの低いベストタイミングを狙えます。

このときに、「どうしても買取してほしい」と希望すると低価格を提示されることがあります。それを避けるためにも「委託販売」をお願いしておけば、売れたときの経費と利益を差し引いた金額を返金してもらえます。

その際、トラブル防止のためにある程度の金額を聞いておく、まただいたいの希望額(無謀な金額は避けること)を伝えておくと良いでしょう。

2:中古農機具店に相談
農機具店では、下取りした機械を、責任を持って次の客に販売しなければなりません。そのため、年式が古い機械はなかなか下取り、買取してもらうことが難しいもの。

農機具が壊れた場合の、部品供給期間も考慮しなければなりません。

機種によって異なりますが、たいていのメーカーでは、販売終了後7~10年が限度です。その期間を過ぎると、農機具メーカーが部品を再生産する以外、在庫分しかないため注意が必要です。

農機具店が、年式が古い中古農機を整備したうえで販売し、1カ月もたたないうちに畑で故障しても、部品が供給打ち切りで修理ができない場合、購入した農家さんは「中古だけれど買ったばかりなのに」と悔やむ羽目になります。こうしたケースがあるので、旧年式の農機具の取り扱いはなかなか難しいのです。

3:行政に相談して新規就農者に格安で譲る場合も…。

現在、全国の市町村では遊休農地や耕作放棄地対策に奮闘しています。耕作できなくなった農地を貸し出したり、新規の就農者を募集して迎え入れたりしています。

私が知っている地域では、JAとタイアップして新規就農者をイチから指導し、農地や住居の紹介まで面倒を見たりして、新規就農者を募っています。

その際、新規就農者は農機具を持っていないので、引退する農家から提供してもらったり、JAや農機具店を通じて新規就農者へ格安で提供していたりする市町村もあります。

農機具が眠ってしまうと、エンジン始動不良の原因になったり故障の原因にもなったりするので、格安で譲り渡すことができるかもしれません。まずは地元の新規就農者受け入れ窓口に相談してみるのもいいでしょう。

最後にまとめます。

農機具の売却買取は思った以上に低価格です。これを念頭に入れてください。

まずは購入先の農機具店に相談したり、身内親戚や近所の農家さんなどに購入希望者がいないか探したりしましょう。

その後、農機具店さんに相談する場合、事前にしっかり話をして納得の上買い取ってもらいます。

市町村の行政や農業委員、JAなどに相談してみるという方法もありますので、ご自身に合ったやり方を検討してみてください。

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