桃、すもも、ぶどうなど生産している果樹農園をやっております。
恥ずかしい話ですが、すっかりメンテナンスをサボってきてしまったので、農機具がかなりサビてきています。
そこで冬場にしっかりとサビ落としと予防をしようと思っています。
とはいえ、サビがかなり進行しているものもあります。
昔はワイヤーブラシや重曹を使ってチマチマとサビ取りをしていましたが、かなり手間だし、時間もかかりそうです。
最近はいい方法も増えてきていると思います。
漬けておくだけとか、吹きかけるだけといった感じで、できるだけ手間をかけずに簡単にサビ落としできる方法や最新の便利アイテムを教えてください。
(山梨県・中村さん/仮名・60代)
松澤 努
農機具屋
農機具のサビを落とす方法はさまざま。方法に応じて注意点を守りながら行いましょう
スピードスプレーヤーやトラクター、管理機などのサビ落としには、いろいろな方法があります。
サビを削ったり、たたいたり、溶かしたり、あぶったりしてサビを落とします。サビの発生箇所やサビの状況によってサビの除去の仕方が変わってきますので、サビの発生箇所によって使い分けてみると良いでしょう。
まず「高圧洗浄機を使う方法」です。農機具の洗浄や果樹の皮削りなどで使われている高圧洗浄機で、水圧が100キロ以上のものがおすすめです。
噴口を直圧(霧状ではなく直で水が出る状態)にして、サビの部分に当てて吹き飛ばします。スピードスプレーヤーのフレームやトラクターのロータリーなどのサビはこれである程度落とすことができます。水の勢いが強いので塗装や電装した箇所などは注意して下さい。
燃料タンク内のサビ取りは、タンク内に10円玉くらいの小石を10~20個ほど入れて洗浄機のノズルの先を燃料タンクの給油口に差し込んで洗浄をします。
すると、タンク内で小石がゴロゴロ、ガラガラと水圧で押され、タンクの内側に石が当たってサビを落としてくれます。
あとは水と石を抜いて強力ドライヤーで内部を乾かし、コンプレッサーの圧縮空気で吹いてやればサビの粉が噴き出て綺麗になります。
強力ドライヤーがない場合には、簡易バーナーでもできます。その場合、あぶりすぎると塗装が剥がれますので注意して下さい。作業前には燃料ゲージなども外しておいて作業しましょう。
次に「サンドブラストを使う方法」です。エアーコンプレッサーの圧縮空気の力で砂を吹き付けてサビを除去します。細かな溝や角など、かなり綺麗にサビを落とすことができます。
ボルトやナットがサビて回らなくなってしまった場合は防錆潤滑油の「CRC556」などが有効ですが、それでも回らなかったり、取れなかったりする場合には、簡易バーナーであぶるとよいでしょう。
「バーナー(火)を使った除去」は、ある程度火力の強いバーナーや工業用酸素、アセチレンでまんべんなく温めて全体が赤くなれば、不思議なことにネジが折れることもなくゆるみます。
ホームセンターなどで売っている火力が低い簡易バーナーでも、少し時間はかかりますが可能です。
なお、火を使うため、燃料の近くを避け、また燃えそうなものがある場合には、それを外しておくか、濡れタオルなどで燃え移らないように対策をしてから行いましょう。
「手作業で行う」には、グラインダーやワイヤーブラシ、サンドペーパーなどでとにかく手作業で削って磨いてサビを落とします。気力と時間と体力の勝負です。
手軽にサビを落としたいならば「サビ取り剤を使う方法」があります。
燃料タンク内のサビやカバー、フレーム、ボルトナットなどの鉄のサビ全般に効きます。薬剤をスプレーするか刷毛などで塗って、5~10分後に水洗いをするだけでOKです。
そのほかに、主成分がリン酸や中性フッ化アンモニウム、強酸性のもの、クエン酸のものもありますが、軽いサビならサンポールや酢などで落とすこともできます。
サビがひどい場合には、サビ取り剤を塗った後でワイヤーブラシなどを使ってゴシゴシすると、なお綺麗にサビを取ることができます。最近ではホームセンターでもこうした薬剤を売っています。サビ取り剤使用時は説明書をよく読み要領用法を守って使用して下さい。
なお、薬剤を使って作業する時には、必ずメガネやマスク、ゴム手袋をして体を保護してください。以上の方法によってサビを除去した後は、速やかにサビ止めの作業(サビ止め剤を塗るなど)を行いましょう。
十時伸啓
株式会社リンク
サビ落としは研磨剤が一番。無理にやると塗装まで剥げてしまう恐れが
サビを落とす方法はいろいろありますが、プロが使う液体用のサビ落としなどを使うと塗装まで剥げてしまうことがあります。
なので、サビ落としには「ブルーマジック メタルポリッシャー」や「ピカール」などの研磨剤で落とすのが良いです。
また、サビ防止アイテムは多数メーカーが出しているので、
錆びる前の事前対策が一番です。サビ止めオイルや、スプレーなどが販売されていると思います。
またサビないように保管する事も大切です。
・雨ざらしにならない、直射日光をさける、海辺が近いところは潮風にあたらないようにする
・できる限り屋内保管をする(盗難防止にもなる)
・倉庫内の床がコンクリートなどでなく、土の場合は鉄板をしたに敷いておく(土の微生物からのサビ防止)
・どうしても室外に置く場合は、ブルーシートなどをかけ、なおかつ土の上に置かないようにする