チューリップやムスカリなどの球根の水耕栽培のことを知り、栽培方法について詳しい方にお話をお聞きしたいと思っております。
私は40代なのですが、実は農作業で腰を痛めてしまい、肉体的にこのまま同じような作業を続けられるかどうか不安を感じていました。
そんな時、球根の水耕栽培は、腰の高さに水槽を設置するため、腰を曲げる必要がないことを知ってぜひ挑戦したいと考えるようになりました。
最初は5坪程度の規模のハウスから試していこうと考えていますが、まったくノウハウがありません。
もちろん知り合いでやられている方もおりませんし、JAの草花担当の方からは「水耕は難易度が高いからおすすめできない。土耕栽培ではダメですか?」と言われました。
ネットで検索してもガラス容器による簡易的な情報ばかりです。
球根の仕入れ方法から販売に適した品種選び、病気対策、水の扱い方、定期的に収穫するためのテクニック、さらに出荷方法など、何もわからず途方に暮れてます。
お知恵や経験を教えていただけましたらとても助かります。
(長野県・押川さん/仮名・40代)
橋本辰哉
富山県花卉球根農業協同組合 営業部
チューリップやムスカリなどの水耕栽培を始めるポイントは初期投資です
腰を痛めてしまうと、かがむ作業をするのはキツイですよね。おっしゃられているように、栽培ベンチなどを使い、栽培場所を高くするのが望ましいでしょう。栽培場所を高くすることができれば、水耕栽培にこだわらなくても大丈夫です。トレーなどに土を入れて栽培する方法が可能です。
もし水耕栽培を始める場合、最も重要なポイントとなるのが初期投資です。水耕栽培用のトレー(自作するのであれば不要です)、発根処理施設(温度、照度、湿度による発根を促す処理)、液肥混入器(液体の化学肥料を栽培する面積や流量、希釈倍率などに合わせてちょうせ制する装置)などが必要となってきます。金額は規模によって変わりますが、この初期投資が可能なのであれば、水耕栽培はおすすめできます。
水耕栽培は、水の扱い方が重要です。気温の上昇や長期間同じ水を使い続けるとトレー内の水温が上がったり、バクテリアが発生して球根や根っこが腐敗する原因となります。
当組合では、タイマーを利用して1日2回の水(液肥を混入したもの)の入れ替えを行って清潔な状態を保っています。あとは通気性をよくして、カビの発生と蔓延を予防しています。収穫技術については、特に難しいことはありません。
販売に適した品種選びについては、当組合では切花などを生産していますが、販売先としては直売ギフト(個人のお客様)と市場への出荷です。
直売ギフトは、常に各色(5色以上)を揃えられるように、できるだけ廃棄の少ない品種を選定して生産しています。市場には、できるだけ毎回各色、同じ程度の本数を出荷し、価格を安定させています。
球根の仕入れは、当組合ではオランダの業者と取引しています。県内はもちろん、県外の多くの生産者にも球根を納めているので、ご相談ください。