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新車で購入したトラクター。長く使い続けるための使用方法やメンテナンスの注意点は?

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新車で購入したトラクター。長く使い続けるための使用方法やメンテナンスの注意点は?

北海道で農業を営んでいます。主にもち米を育てており、周りにも同業者が多く、これまで何軒かの農家でトラクターを共同で使ってきました。

今回、作付面積の増加を機に、作業効率のアップを期待し初めて個人でトラクターを新車で購入しました。

とてもお気に入りの型で、グレードも最高級のものなので、長く使えるように大切に愛用したいと思っています。

そこで、耐用年数を伸ばすためのお手入れ方法や注意点などを教えていただきたいです。

普段の乗り方はもちろん、気を付けるべきことやメンテナンス、冬季間の保管場所など、小さなことでもいいので教えて下さい。
(北海道・吉田康介さん/仮名・60代)

十時伸啓

株式会社リンク

こまめなメンテナンスと屋内保管が劣化を防ぎます

トラクターに限らず、コンバインや田植え機など農機具用設備全般の減価償却費は7年です。

長期間使う高額なトラクターは、会計上固定資産となります。例えば150万円のトラクターを購入した場合、その費用をトラクターに設定された耐用年数7年に分けて償却(返済)していくということです。

ここで指す耐用年数とは会計上の耐用年数であり、実際にトラクターがどのぐらい持つかという話とは少し違います。

メーカーさんなどで示されている指標では、トラクターの寿命=馬力×100時間と言われています。

ただしこれは、定期的なメンテナンスを継続して行った場合です。実際に日本国内に多いトラクターの寿命は25〜35馬力程度だと言われており、これはおよそ15年1200時間になります。

丁寧に使っていても、1000時間を超えたあたりから不具合が出てくるのは仕方がないことだと言えます。

そして修理にはそれなりの費用がかかるので、壊れてしまったら修理ではなく、買取に出して新たに中古を購入する農家さんも少なくありません。

少しでも買取価格を上げるためには、きちんとしたメンテナンスは行っておく必要があります。

私が推奨しているポイントは以下の3点です。
ひとつ目が月2回程度の日常的なメンテナンス、
2つ目が年1回程度の定期的なメンテナンス、
3つ目が劣化を防ぐトラクター保管方法です。

日頃から意識したいメンテナンスは「洗浄」と「グリスアップ」の2点です。泥が固まってしまうとサビの原因となり動作に影響を及ぼす事もありますので、高圧洗浄機などで泥や草を取り除きます。

グリスアップは、メーカーが扱う粘度の高いグリスがおすすめですが、手に入らない場合はスプレー式のCRCやラスペネなどの簡易潤滑油を使いましょう。

年1回程度の定期メンテナンスでは、エンジンオイルの交換が重要項目です。交換目安は最初50時間、その後は200時間と言われています。エンジンオイルが劣化していると真っ黒だったり水っぽくサラサラになっていますので、その場合は交換をしましょう。

その他にも、バッテリーやラジエイタースクリーン、冷却水、ファンベルト、エアクリーナーエレメント、タイヤの空気圧とボルト・ナットの緩みチェックなどの確認を行います。

最後にトラクターの保管方法ですが、可能であれば屋内保管がおすすめです。屋内が難しい場合は、直射日光と雨、湿度等が当たらないようにカバーをして劣化を防ぎます。

長時間トラクターを使わない場合は、バッテリーの-端子を外しておきましょう。トラクターは高価な機械です。長持ちさせるためにも、こまめなメンテナンスを心掛けてみてくださいね。

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松澤 努

農機具屋

トラクターなどの農機は、使用後の水洗いと定期的なメンテナンスが長持ちのコツです

トラクターに限らず農機を長持ちさせる基本は、何といっても作業後の農機の洗浄です。田畑の土の中には肥料やたい肥といった金属を腐食させる成分が豊富に含まれております。時間が経ち、泥が乾いて張り付いてしまうとなかなか落ちませんので、使用後はエンジンを切ってなるべく早めに水洗いをしましょう。

その際に見落としがちな部分は、タイヤホイールの内側や本体の下側、ロータリの内側です。

ただ、洗うことでどうしても油分が流されますので、洗った後はよく乾かし、グリスアップや注油、サビ止め剤やワックス、塗装を行ってください。

エンジン式の高圧洗浄機の使用がおすすめですが、最近は電子制御の機器も多いので確認してからの使用を推奨します。

さらに使用後の水洗いに加え、定期的に部品の確認を行うことが農機の劣化を防ぎます。

ファンベルトの確認。これがゆるんでいるとエンジンが冷えず、最悪の場合焼き付いてしまいます。指でベルトの一番長い片の真ん中あたりを押して1cmくらい動く程度の張りをキープできるか見てみてください。ゆるくなっていたら必ずベルトを張っておきましょう。

エンジンを冷やすラジエターは、リザーブタンクの冷却水を確認し減っていたら補充します。

各オイルの確認。作業前にエンジンオイルの確認 定期的にミッションオイル、フロントアクスルギヤーオイル、作業機耕耘ロータリーギヤーオイル等を1年に1回は必ず確認しましょう。
水などが混入して白く乳白しているようですたら即交換、オイル漏れ等が有れば即修理、トラクターの保管場所にオイルの漏れている痕跡があればその付近を確認しましょう。「少しぐらいなら大丈夫」ではありません。壊れたあとはとてつもなく修理代がかかりますので注意しましょう。

他にはロータリのガタツキ確認やタイヤの空気圧の確認、エアーエレメント清掃、各部のグリスアップがお手入れ項目です。また、使用後は燃料を満タンに補充しておくといいですよ。

運転時にも長持ちさせるコツがあります。

始動時は数分程度かけてエンジンが十分に暖まってから運転を行い、エンジンに余計な負荷を与えないこと。車と同じですね。

またブレーキの摩耗を減らすためには、旋回時に片輪停止のブレーキをしっかりと踏み込むこと。倍速旋回という機能が付いていれば利用すると良いですよ。

定期的なメンテナンスを行うことで農機の持ちがグッと良くなります。少しずつで良いので、作業の合間に時間を作って取り組んでみてください。

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