宮城県で仔牛の繁殖から、肥育〜出荷まで行っている40代の畜産農家です。家業を継いで3年ほどになります。
最近、農家の高齢化が進み、後継者探しを諦めて、土地を手放す農家が増えており、ウチの農場の近隣でも農地の宅地造成化が進んでいます。
それは仕方ありませんが、農業を理解してくださる方が少なくなったせいなのか、トラクターの騒音などに対する苦情が増えてきています。
いままでは朝6時頃から始めていた作業も7時過ぎにし、エンジンをかける時間帯をできるだけ遅らせています。夜も8時以降は止めています。草刈り機の電気も夜9時には止め、稼働時期にはお手紙を投函したり、洗濯物を干しているご近所にはできるだけ声をかけて回っています。
しかし、先日のことですが、騒音計で計ったら70デシベル以上もあったと怒鳴り込まれてしまいました。
文句を言ってきた方は「作業を止めないと、市役所に訴える」と相当の剣幕でした。畜産農家の仲間には、近所と言い争いになって警察沙汰になった人もいます。
このままだと、牛のエサを収穫する時期には、飼料の乾燥作業にも文句を言われる恐れがあると今からビクビクしています。苦情を全部聞き入れていたら、仕事にも支障が出ます。どうしたらよいでしょうか?
(宮城県・草間さん/仮名・40代)
加来治郎
元小林理学研究所
トラブルを解決するために、手段と設備の両面から対策を考えましょう
騒音トラブルに関しては、中小の町工場ではよく聞く話です。昔から同じ土地で長く続けられてきた農作業の音に対して、後から移り住んできた人から苦情が出てしまうなんて……とても複雑な思いがします。
地区の条例にもよりますが、通常は農作業に伴う音は騒音と認められてはいないはずです。とはいえ、近隣からの苦情が寄せられる以上は、何らかの対応は必要かもしれません。今回のように騒音計を突きつけられてしまうケースなどは、対応に非常に困ってしまいますよね。
そこで、ハード(設備)とソフト(手段)の二つの側面から私なりにアドバイスします。
まず、最初に試していただきたいソフト面の対策です。
・早朝や夜間など騒音が問題となりやすい時間帯では大きな音の出る作業は控えるとともに、そのような時間帯では住戸の近くでは作業をしない。
・音の出る作業を行う場合は、事前に周辺住戸に通知をする。農薬散布などと同じく、周辺住民にとっては農地で何が行われるのかを知ることができれば安心材料になる。音の出る日時がわかっていれば、ある程度影響は緩和される。
・迷惑をかけているかもしれないという思いがあれば、定期的に作物の一部でも配れば、受け取った人からの苦情は確実に減る。
続いて、ハード面の対策です。あまり現実的ではありませんが、検討してみてください。
・機械の購入時に排出される騒音を検討する。通常、小排気量で高回転型よりも大排気量で低回転型の方が騒音レベルは低い。
・使用方法によって音の大きさが変わることがあれば使い方に配慮する。作業効率と作業時間は相反関係にあることに注意が必要。
・ビニールハウスなどを設置する場合は、音の遮蔽効果が期待できる位置を選ぶ。
実際、農作業に伴う騒音はいわゆる工場などの作業現場とはかけ離れております。
一般的な騒音対策の適用は難しいことが考えられますので、行政やJAの仲介者の力をお借りして、できるだけ相手と円満な形で解決することを祈っております。
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音が小さい電動式草刈り機や地域との関係性を深めてみましょう
草刈り機械については、エンジン式より音が小さな電動式がいくつかのメーカーから発売されています。私は電動式を選択肢に入れることをおすすめします。
バッテリー式を選び、予備のバッテリーも用意したほうがよいでしょう(コード式だと稼働範囲が狭くなってしまいます)。
発電機も必要になります。
使い捨てのカセットボンベを利用するHonda発電機「EU9iGB(エネポ)」が使いやすいです。カートのように持ち運びも手軽にできますし、災害時の非常用にも使えます(宮田栄二さんほか)
私は以前、群馬県で養豚場に勤務していました。山頂なので音は問題ありませんでしたが、風向きによって近くの集落に臭いが届くことが問題となりました。
風向きに関しては、どんなに対策をしてもお手上げ状態。そこでなるべく地元の人を雇用したり、集落の行事に従業員を参加させたり、地元の人も使う道までついでに除雪するなどして、地域との融和を大事にしていました。
周辺地域からのクレームが多い養豚場は、そういった地域の方々との顔の見える関係を深める努力をすることが多いです。
飼料農家さんの場合なら、例えば地域の道路の清掃活動や、畑の一部に野菜エリアを設けておすそ分けしたり、地元の子どもたちのために食育イベントを開くのはいかがでしょう。
お祭り等への協賛金を出すのも味方を増やす方法としてアリですよ。多少出費は伴いますが、長期的に見れば多くのメリットがあると思います。(穐山農園さん)
黒ねこ
70dbとか、トラクターでもかなり接近しないと難しいのでは?いちゃもんの可能性もあるので、見える場所に設置は避けて玄関内部に防犯カメラ設置して、怒鳴りつける人を撮影したほうがいいでしょう。