鳥取県で白ネギやブロッコリー、芝生を栽培しています。芝生は業者へ納入し、白ネギとブロッコリーはJAに出荷、一部を直売所で販売しています。
白ネギを育てている土壌の排水で使う農機について教えてください。
ネギの圃場は60アールほどの大きさで、山のふもとにあります。
トラクターで耕うんをしているのですが、地下30センチあたりに硬い耕盤層ができてしまいます。これをどうにかしたいので、深耕ロータリーかサブソイラーの導入を検討しています。
深耕ロータリーとサブソイラーには、どのような違いがありますか?また、どちらが適しているか選び方を教えていただけると助かります。
(鳥取県・渡辺和章さん/仮名・50代)
松澤 努
農機具屋
深耕ロータリーは農地全体を耕耘でき作物がよく生長します。サブソイラーは深耕作業が可能で硬盤層の破砕能率はとても良いです
「心土破砕」を行うと、トラクターの標準ロータリー耕耘爪がとどかない不耕耘層、硬盤層を崩すために、透水性、排水性、通気性が良くなります。
また、作物の根がしっかり伸びて、土中の栄養分を吸収しながら育っていきます。
質問者様のおっしゃっている「深耕ロータリー」、「サブソイラー」は、いずれも心土破砕ができる機械です。いずれもトラクターのロータリーを外して取り付けます。
「深耕ロータリー」には、以下のような特徴があります。
ロータリー方式による耕耘なので、ロータリー作業幅の全体を深耕して行きます。耕し忘れが無ければ、畑全体を深耕することができるのが一番のメリットです。
・適合トラクターの馬力は「20馬力~45馬力」程度
・作業幅は「140㎝~170㎝」
・作業耕深は「35㎝~50㎝」
・作業速度は「1時間あたり 0.2~0.8㎞」
・作業能率は「10aあたり 120分~240分」
・価格の目安は税込67万2,100円~で、機種や取り付けヒッチより価格が変わります。
ロータリーの長い爪で耕耘作業していくので、作業効率は悪いです。車速が遅く、ロータリーの回転速度も標準ロータリーより遅くなります。
価格とランニングコストは高めで、他の心土破砕の機械に比べると高額です。これはロータリー方式で構造が複雑なため、そうした価格設定になります。
また、爪は消耗します。140㎝の深耕ロータリーで、耕耘爪が20本位です。特殊な長い耕耘爪なので、交換時の爪代も高額になります。消耗した爪を使っていると耕耘爪が折れることがあります。
注意点として、畑の中に石などが多いと、作業効率がとても悪くなります。
ですが、畑全体、もしくは作物を定植する場所全体を深耕させるので、作物の生長はとてもいいです。
「サブソイラー」については、ロータリー方式とは異なり、チゼル(鉄の硬い板)を土中に差し込み、トラクターで牽引してチゼルを硬盤層まで喰い込ませ、硬盤層を崩していく方式です。
全体を崩していくのではなく、線で崩していくことになります。
・適合トラクターの馬力は「15馬力~160馬力」
・最大深耕は「45㎝~80㎝」
・チゼル本数は「1本~5本」
・作業速度は「1時間あたり 2~4㎞」
・作業距離は「10分あたり 300~600m」
・価格の目安は1本チゼルタイプで税込25万3,000円、5本タイプで税込127万6,000円です。オプション等により価格は変わります。
サブソイラーは深耕ロータリーよりも深い硬盤層を崩すことが可能です。
ただし、耕耘ではなく硬盤を崩すだけなので、表土の耕耘は標準ロータリーで作業しなくてはなりません。
1本チゼルなら低馬力15馬力のトラクターから装着可能です。石が多い、土質が特に硬い等の条件の圃場では、振動タイプのサブソイラーも有ります。
まとめると、次のような点がメリット・デメリットになります。
「深耕ロータリー」は農地全体を耕耘することができ、作物がよく生長する。
能率が悪い、価格とランニングコストが高い、低馬力のトラクターでは作業できないことなどがデメリットです。
「サブソイラー」は深耕作業ができ、硬盤層の破砕の能率はとても良い。
低馬力のトラクターでも導入可能で、価格もランニングコストも安いです。ただし、農地全体を細かくすることができません。
以上のような点をふまえて、いずれかの導入をご検討いただければと思います。