鹿児島県でさつまいも栽培を行っている農家です。
面積は5町ほどで、ほとんどが食用サツマイモの生産に充てています。
うちの畑では、食品加工用の「紅はるか」を中心に栽培しているのですが、最近、質の低下が見受けられます。
特に中の色が黄色ではなく、白っぽくなってしまうサツマイモが出てきてしまうのです。
白とは言っても、真っ白ではなく、クリーム色がかったものです。
外からはよくわからず、蒸すか焼くかすると色が変わってきます。
個人的な感想ですが、質の悪いサツマイモは大体白っぽいサツマイモです。
白いサツマイモができてしまうのはなぜなのでしょうか?
(鹿児島・禱さん/仮名・50代)
中瀬靖幸
株式会社 なかせ農園
ウイルスフリー苗や識別作業を行い対策すれば、改善が期待できます
弊社でも紅はるかを作り始めて数年経過してきた頃に(「果肉の白いべにはるか=白はるか」と呼んでいます)多数発生が見られました。
おっしゃるように果肉が白いだけでなく、甘さも少し乏しい感じがしますし、
また食べた時の食感も紅はるか特有のねっとりした粘度が足りないように感じます。
対策というのは2つあります。
まず第一に、信頼できるウイルスフリー苗による毎年更新(フリー化した芋が必ず黄色いとは限らないので注意)です。
そして次に、農研機構が出している識別対策です。
識別作業をかれこれ5年ほど続けていますが、今では白はるかの発生率は20%から0.1%以下にまで低減しているのが実感です。
手順はまず、保管していた種芋を土つきのまま明るいところ(晴れた日の屋外等)へ持ち出します。
その際、種イモが低温障害を受けないように外気温が10度以上の時に行いましょう。
次に、カッターで尻尾から一部分(マッキーマジックの細い方くらいの円型で)をカットします。
指標をもとに少しでも白っぽい個体は除去します。
正しい方法は農研機構が出していますので、こちらを参考にしてみてください。
微妙な差異なので日陰や室内の蛍光灯の下だと少し分かりづらいかもしれません。
識別は屋外の日向で行いましょう。
このような対策をご参考にされて改善されることを願っています。
山川 理
山川アグリコンサルツ代表、農学博士
種イモを選ぶときに色の濃いもの、株を選びましょう
サツマイモの皮の色や肉の色は結構自然に変化しやすい特性ですから、種イモを選ぶときには注意が必要です。
必ず色の濃いものをあるいは色が濃い株から種芋を選んで下さい。
何年か選抜を続ける間に特性が安定してきます。
色が薄くなった芋は美味しくないだけでなく、センチュウやウイルスなどの感染リスクもあります。