兵庫県で鉢物の花や花壇苗を栽培している2代目の50代です。
ハウス6棟で、基本的には夫婦2人、繁忙期だけパートさんを雇って、ハボタンやパンジー、ビオラ、カーネーションなどの花や苗を栽培しています。
花壇苗の土には、購入したものを2種類使用しています。
しかし、人力で混ぜていることもあり、どうしてもポットごとにむらが生じてしまいます。
生育が悪く出荷基準に満たなかった苗の土は、太陽熱消毒を行って再利用していました。
ですが、年々暑さが厳しくなっていく中、一番暑い時期にやらなければならず、体力的にもきつい作業です。
どうにか太陽熱消毒よりも楽に土壌消毒する方法がないかと思っていました。
そんな時、蒸気で土壌消毒できる機械があることを知り、導入を考えています。
ただ、実際に導入している農家をまだ見かけません。
高額な設備投資になるので、決心するために「導入して楽になった」という情報が欲しいです。
本当に蒸気土壌消毒機を使うことで、太陽熱消毒よりも楽になりますか?
(兵庫県・片山譲治さん/仮名・50代)
中村浩也
株式会社丸文製作所 営業部
メリット・デメリットを理解したうえで、導入されてみてはいかがでしょうか?
「蒸気式土壌消毒法」は、専用ボイラーで発生させた蒸気を土壌の中に放出して土壌温度を上げ、病害虫の駆除を行う技術です。
蒸気土壌消毒機を導入するメリット3点を説明します。
・太陽光消毒ができるのは高温期の夏場に限定され、約1カ月を要しますが、それに対して蒸気消毒は、時期を問わず、短期間(半日から1日)で完了します
・消毒後は土壌温度が常温に下がればすぐに定植・播種が可能です。病原菌をはじめ、ほとんどの害虫や雑草が駆除できます。
・蒸気による熱処理によって土壌中の各種成分が、植物に吸収されやすい「可給態養分」になるので、植物の生育そのものが促進されるという報告もあります。
特に当社の蒸気土壌消毒機には、壊れにくく操作が簡単であることに加え、水道水はもちろん、地下水、河川の水でも、濁っていなければ使えるという特徴があります。
一方で、デメリットについても補足させていただきます。
蒸気土壌消毒機は灯油を燃焼させて蒸気を発生させるので、どうしても燃料代が発生しつづけます。
また、消毒機本体も約300万円台からと、決して安いとは言えません。導入することによる損益分岐点は、栽培されている農産物の商品単価や種苗料によって変わるでしょう。
当社は、1964年に蒸気土壌消毒機国産1号機を生産して以来60年近い実績があります。全国の先進園芸生産者の皆さまを始め、国・県の試験研究機関、農業系大学・高校、種苗・バイオテク関連の先端企業などにおいても蒸気土壌消毒機が採用されています。導入実績は3000台程度、共同利用されていることが多いです。
導入された方には「土壌病気、雑草、害虫のすべてにオールマイティに効果がある」「いちばん確実」と評価をいただいています。歩留まりについても、夏場は20%以下だったのが導入後は90%以上になったというデータもあります。
相談者さんは「楽に消毒する方法」として 蒸気土壌消毒機の導入を検討されていますが、前述のとおり、蒸気土壌消毒機にはさまざまなメリットがあります。
もしも資金面で不安があるなら、共同購入・共同利用という手段もありますし、当社はレンタルやリース事業も展開しています。導入にもさまざまな方法がありますので、ぜひご検討ください。