栃木県でいちごをハウス栽培している専業農家です。昨年、ラニーニャ現象による大雪で、ハウスの倒壊や農作物の損傷など被害が全国で発生しました。
幸いなことに我が家は被害を受けることなく済みましたが、被害は西日本で多く見られたと聞いています。
そして、今後もラニーニャ現象による大雪が予想されています。
数年前に栃木でも大雪でハウスが倒壊した農家さんが数件いたのを見ているので、いつ自分のハウスがそうなってもおかしくないと心配しています。
被害を最小限に抑えるため、ブレースや中柱などの補強はもちろん、部材の更新や点検も強化して対策をしていますが、これだけの対策で大丈夫なのかと心配が尽きません。
ほかにも「こんな対策をしたらいい」「こういうところに注意した方がいい」など、大雪対策の工夫があったらぜひ教えてほしいです。
(栃木県・ 田村優さん/仮名・50代)
小沢 聖
明治大学黒川農場
ハウスの雪対策は、タイバーや合掌造りで補強を
例年異常気象が続いていますので、積雪対策に備えておくことは良いことだと思います。
まず、ハウスの補強といえばタイバーの設置やブレースの接続金具の設置などが一般的に知られています。
これにプラスして、棟を合掌造りで補強しておけば、よほどの大雪でない限り潰されることはないでしょう。
考え方としてはタイバーと同じで、アーチパイプを補強する方法です。
棟の一番高いところから側梁へ向けてパイプを左右両側に通します。
補強パイプと母屋パイプの接続部はもちろん、交差するパイプも、すべて止め具でしっかり固定しておくことが大切です。材料を集めて、時間のあるときにハウスの弱い位置から補強しておきましょう。
次に、地際付近から下に位置するパイプの腐食した部分は、切断して太い直管に差替え、既存のパイプを太い直管の中につなぎ、ビス止めしておきます。
また、雪除けスペースの不足で側面から潰されそうな可能性がある場合は、ハウスのフィルムを切る心づもりをしておくと良いです。
これは最終手段にはなりますが、大雪にみまわれたとき、どこのハウスから犠牲にするかを普段から考えておくのは必要なことです。
一方で、フィルムがあった方が被害が少なくて済む場合もあります。
日本海側の気温の高い地域の湿雪では、パイプに付着した雪が氷の玉になって肥大し、その重みでハウスの骨組みを潰すことがあります。
氷玉は急速に発達するので叩き落すこともできず、結果としてフィルムを張ったままのハウスが助かったという報告もあります。
お住まいの地域や時期による雪の特徴を考慮して、対策を選びましょう。