野菜の苗を育成し、販売している種苗農家です。
20アール規模のハウスで育成していますが、最近は冬と春への移り変わりが早く、従来の管理方法では軟弱徒長になってしまう苗があります。
徒長になってしまう苗は全体の3割~5割くらいで、トマトやナスがなりやすい傾向です。
苗は徒長したとしても、植え付ける際に対処できますが、苗屋として元気で良質な苗を提供したいと思っています。
徒長を防ぐ方法はないでしょうか?
(長野県・河合さん/仮名・50代)
野菜の苗を育成し、販売している種苗農家です。
20アール規模のハウスで育成していますが、最近は冬と春への移り変わりが早く、従来の管理方法では軟弱徒長になってしまう苗があります。
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龍 慶介
てしまの苗屋/てしま農園
気候が変わるタイミングを見極め、ナスやトマトの管理方法を変更しましょう
苗の軟弱徒長に悩まれているのであれば、原因として考えられるのは、気温(ハウス内温度と湿度)、灌水量、日照量が関わっています。
つまり、悩まれている時期の栽培環境の温度が高く、灌水量が多く、日照量が少ないのです。
日照量は調整が難しいところですので、現実的な改善策は温度と灌水量を調整するようになります。
加温ハウスで育苗されていると思いますが、ハウス内のボイラー設定温度を18度前後にし、日中の気温が上がるタイミングでは、ハウスサイドを明け、ボイラーを切りしっかりと換気を行います(気温が10度を下回らないように温度調整を行う必要はあります)。
日々の灌水の際は夜間水分が残らぬよう少なめの灌水調整を継続します。目安は夕方に苗が枝垂れてくる程度を考えてください。
水が入りすぎると修正ができないので、気が抜けないところです。また、しっかりと乾くようにスペーシングは早めに広めに行います。
液肥については2,000倍程度の薄めのものを鉢上げ初期から2日に1回のペースで水やりします。
ナスは肥料が切れ気味になるため、肥料成分が時間をかけて溶け出して、効果が長持ちする緩効性の化成肥料をポットに数粒入れておくとよいでしょう。
生育限界温度(10〜15度)あたりを維持して固めに育苗すれば、気温の低い環境下では一般的に徒長はしにくくなります。
その分、育苗日数は長くかかりますし、多少生理障害は発生しますので見た目は悪くなります。
具体的にはトマトには斑点のような黒点、ナスは葉が尖って逆立ちます。ですが、徒長や軟弱になることはなく、ガッシリとした苗に仕上がります。
気候が変わってくるタイミングを見極め、上記のように管理方法の変更を行うことが大切です。このタイミングは、経験と過去のデータから判断するしかないところ。
弊社の農園では、週間天気予報と、同じハウス内で育苗しているきゅうり苗の伸び方をみて、最終的に私の感覚で判断しています。
苗屋の間では「灌水10年」と言いますので、生産者の腕の見せどころですね。