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うにの「磯焼け」を防ぎ、豊かな藻場を取り戻す対策は?

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うにの「磯焼け」を防ぎ、豊かな藻場を取り戻す対策は?

五島列島でうに漁を営んでいます。沿岸の海はうにの餌となるヒジキやテングサなどが多く生え、好漁場と言われてきた場所です。

ところが、最近うにの身入りが悪く、小さなものが目立つようになり「磯やけ」の影響ではないかと言われています。

磯焼けの原因についてはいろいろと調査が進んでいるようですが、海水温の上昇で、海藻を餌にするイスズミやアイゴのような魚が冬でも活発に活動するようになったことが原因の1つと言われているようです。

また、九州の多くの岩場では、ムラサキウニやガンガゼなどの一部のうにによる藻場の食害も目立っているようです。

こうした一部の魚やうになどによる海藻の食害を減らし、昔のような豊かに海藻が茂る藻場を再生するためには、どのような対策を行えばよいでしょうか。
(長崎県・山口さん/仮名・40代)


Tさん

水産研究者

まずは磯焼けの原因の解明を!食害ウニを養殖・販売する事例も

磯焼けの原因ということでいうと、長崎の海域ではムラサキウニによる食害だけではありません。

そのほかに、ノトイスズミやアイゴなどの暖海性魚類(熱帯や暖流の勢力が強い亜熱帯に住む魚)による食害もあれば、水温の上昇にともなって海藻の種類が置き換わる現象も報告されています。

まずは現地の「磯焼け」がどの原因によるものかについて、情報を集めてみることが良いと思います。

そのうえで、磯焼けの大きな要因がウニによる食害である場合には、ウニを除去(捕獲)することで磯焼けの改善が期待できると思います。

ムラサキウニの除去には人出と費用がかかります。人手に関してはグループで対応すること、費用に関しては、できれば除去したウニを利用(販売)して対応することが望ましいと思います。

利用するといっても、除去したウニが売れれば良いのですが、磯焼け漁場にいるウニは、通常は身入りが悪いので食用にはなりません。

そのまま肥料にするなどの方法も考えられますが、養殖(畜養)して身入りを改善すれば食用としても販売できます。そうすれば利益もでるので、活動が長続きする可能性があります。

養殖の場合、ムラサキウニに廃棄キャベツを与えて養殖する神奈川県の取り組みや、それをヒントにして山形特産のだだちゃ豆で養殖する山形県の試み等、いくつか事例があるので参考にしてみてください。

餌に関しては、コンブやワカメなど有用な海藻以外の廃棄される雑海藻を利用したり、クズ野菜や陸上植物を利用したりする事例も報告されています。鹿児島や沖縄では、陸上植物として桑を使用したところ、有効だったと報告が上がっています。

ただ、野菜や陸上植物を餌にすると、育つものの、味が淡泊になるなど、ウニ本来の味が出ないことが多いといわれます。したがって、味を向上させるために、出荷前に有用海藻を給餌することが望ましいです。

また、暖海性のシラヒゲウニは比較的飼育しやすいものの、ムラサキウニは紫外線に弱く、近くに餌がないと食べないので水流が必要となるなど、飼育しにくいといわれます。養殖(畜養)に取り組む場合は、飼育法についてあらためて相談されるほうがいいと思います。

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