米を主体に、麦・大豆との輪作を取り入れて10数ヘクタールほどの田んぼをやっています。
教えていただきたいのは、流し込み肥料の使い方についてです。
稲の追肥はこれまで動力散布器を使って行ってきましたが、暑い時期の作業は本当に大変で、散布のムラもできやすいので、困っていました。
しかし最近、水田の水口から流し込みのできる肥料(粒状、液状)が販売されていることを知り、ぜひ使ってみたいなあと考えています。
粒状よりも液肥の方が水に混ざりやすく、まんべんなく水田に広がりそうなので、液肥を使うつもりです。
ただ、耕うんや代かきがあまり上手ではないので、角に土が寄って数センチほど高くなっている田んぼが何枚かあります。
そういった土が盛り上がった部分まで肥料成分が行き渡るのか、少し心配です。
田んぼ全体に肥料成分を均一に行き渡らせるためのコツを教えてください。
(愛知県・杉浦文一さん/仮名・50代)
佐々木茂安
日本のお米をおいしくしたい。佐々木農業研究会代表/農業経営技術コンサルタント
水を浅く張った状態で肥料を半分施肥したら、さらに水を流し込んで、残りの分を施肥して最後は深水に
流し込み技術は、肥料に限らず除草剤の散布にも利用できるため、省力的で、習得するとメリットが大きい技術です。
その一方で、利用する際には圃場の条件や用水の水量など、制約要因がかなりあるので難しい技術ともいえます。
まずは利用するにあたって、用水の水量が豊富な圃場であることが条件です。
また、圃場内に藻や雑草などがあると、水が広がる際に滞る原因があるので、まずは除草剤や落水等を行なって、いったん障害となるものを無くしたうえで対処してください。
肥料の施用にあたっては、土に十分水が含まれている状態にしておきます。土が乾いていると、圃場全体に水が広まるまでに土壌の中に肥料の栄養分が吸着されてしまい、肥効がムラになります。
圃場に浅く水を張った状態で流し込みを始め、施肥量の半分まで流し込んだら、いったん施用をストップし、水だけを流し入れます。水が相当量入ったら、再び残りの施肥分を入れましょう。時間が結構かかりますから、焦らず取り組んで下さい。
また、施用する際に目印となる浮遊物を使用すると、水の廻り具合を見るのに参考になります。
流し込みの最後のほうでは、肥料が圃場全体に行き届くよう、やや水を深くまで張ります。その際に、くれぐれもオーバーフローには気をつけて下さい。