九州の漁協に勤務する20代の職員です。事務仕事を中心に、さまざまな業務を担当しています。
コンビニやスーパーマーケットのレジ袋が有料化されてから、プラスチックごみ削減の一環で、私もエコバッグを持ち歩くようになりました。
日本は世界的にみても、プラスチックの廃棄量と、それに伴うCO2排出量が高いそうですね。
漁業関係者として他人事ではないと思うのは、廃棄漁具も汚染の大きな一因らしいということです。
特に、漁網は「ゴーストネット」と呼ばれ、海洋生物を脅かしていうニュースを目にしました。
浜の釣りスポットでも、釣り人が置いていったごみや釣り糸をよく目にします。
見て見ぬふりをすることはいずれ自らの首を絞めることになってしまうので、どうにかきれいな海を守っていきたいです。
我々が、まず取り組めることはなんでしょうか?
(九州地方・佐々木祐さん/仮名・28歳)
池田隆
株式会社平泉洋行
問題意識をもつ行政や企業と連携しできることから着手しましょう
海洋プラごみ問題は多くの市民に「自分事」と認識してもらうことが大切です。具体的には、漁協や釣りポイントなどに看板を設置する方法はいかがですか。
「ストローの刺さったウミガメ」「お腹にプラごみが詰まったクジラ」「プラごみは波や太陽光により細かくなり小魚が食べ、大きな魚がそれを食べ、人間がその魚を食べる図」などをイラストや漫画にして看板として掲出するのが有効です。
「あなたが捨てたプラスチックや、海に流出したプラごみは海洋生物に悪影響を与える」「人間への健康被害も指摘されている」と訴えることで、意識が変わる人が増えるはずです。
2019年に、プラごみ対策を扱う「G20大阪サミット」が開催されました。以来、多くの企業が分解されやすいプラの開発や詰め替え容器推進、リサイクルしやすい素材への変更など、さまざまな取り組みをしています。
その一方で、海洋プラごみ問題に取り組む企業は多くありません。漁網のリサイクルビジネスをスタートした会社もありますが、漁網の種類によっては鉛を含むこと、廃棄物リサイクル法の規制など、課題は多くあります。
それでも少しずつ社会が動き出しているのも事実です。行政を動かすことも非常に有効ですが、そのためには、多くの市民やNPO、環境団体などが声をあげていく必要があります。
当社では、問題意識をもつ行政や企業とともに、海洋プラごみの問題を市民の皆さんに知ってもらう「コミュニティの形成」にたずさわっています。
さらに、回収した物の資源化にも取り組んでいます。回収した物が「有価物として買取」であれば、物を捨てなくなると思っています。