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漂着ゴミの回収や再利用を支援してくれる制度や企業はありますか?

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漂着ゴミの回収や再利用を支援してくれる制度や企業はありますか?

漁協青年部の有志グループで浜や漁港周辺に漂着するゴミの回収と分別、再利用を行う活動をはじめました。

ほかの地域でも抱えている問題だと思いますが、漂着ゴミが漁船のスクリューに絡まったり、魚網に引っかかったり、あるいは冷蔵庫のような大きなゴミが漁船に当たって船体を傷つけたりすることもあったりと、無視できないほどの損失がでています。

先日もゴミの回収活動を行ったのですが、集めたゴミは発泡スチロールやペットボトルなどのプラスチック類(細かく砕かれたものも多い)以外に、流木やドラム缶、浮き球類、ポリタンク、魚網、漁具なども多くありました。

どこから流れ着いたのか調べてみると、全体の半分は日本国内のものですが、中国や韓国などのものも5分の1ほどありました。

漁業者として反省しなければと思ったのは、漁業に関わるゴミが多いことです。環境美化に対する漁業者の意識も高めていかないといけないなと思いました。

現在、PETポトルや発泡スチロールなどのゴミは分別してリサイクルに回したりしていますが、それ以外の多くのゴミは廃棄にお金がかかる状況です。

こうした海の清掃活動を継続していくために、助成金を出してくれるような制度はありますか?あるいは協賛してもらえるような企業などを探すにはどうしたらいいですか?
(福岡県・古賀洋平さん/仮名・30代)

川上貴史

株式会社水土舎 主任研究員

漂着ゴミの回収には、行政や民間による助成金制度がいろいろとあります。特徴をつかんで活用しましょう!

現在行われているような清掃活動は、国や県、公益社団法人や一般企業などが行なっている助成事業から支援が受けられます。

環境省では「プラスチックを含む海洋ごみ(漂流・漂着・海底ごみ)対策」としてさまざまな取り組みへ助成を行っており、環境省のWebサイトに掲載されています。

そのなかで、実際にごみの回収や処分などへの助成については、地方自治体が計画を立て、その費用の一定割合について国から補助を受ける仕組みとなっています。そのため、まずは地元の自治体へ相談する必要があります。

水産庁では「水産多面的機能発揮対策」という事業も行なっています。この対策のなかに、「海洋汚染等の原因となる漂流、漂着物、堆積物処理」という活動があり、これは漁業者などが行う清掃活動やそれによって生じるゴミの処分に関する費用などに補助が受けられます。

また、「多面的機能の理解・増進を図る取組」もあり、これは環境教育や啓発活動を行う場合の費用についても交付金の対象となっています。

対象となる活動やそれに対する補助額や割合、計上できる費用項目など、細かな規定はありますが、清掃活動以外の取り組みにも使うことができる事業となっています。

この補助事業は、実施主体が漁協等(漁協と漁師、自治会など構成員が2グループ以上必要)とされているので、ご質問者さんの場合でも適用できるのではないかと思います。

国や県など行政が行っている助成事業は、一般的に補助金の用途が限定的なものもが多く、細かな規定や事務手続きが多いことが特徴です。

しかし、県や町を通して補助を受けるため、行政から活動の援助や事務手続きのサポートが受けやすいのがメリットかと思います。

一方、公益財団法人や一般企業で行う助成金は、それぞれ規定や助成の上限額が大きく異なります。

特徴としては、補助金の使用用途が一般的な行政の補助金よりも汎用性が高く、補助要件等に関する細かな規定が少ないことがあります。

しかし、補助金の申請や活動報告などの事務手続きを活動組織ですべて行う必要があることなどから、組織づくりなども考えると少しハードルが高いかもしれません。

そこで私の提案としては、初めに活動の基盤づくりとして国や県などが行っている事業を活用して、行政からの援助を受けながら活動を行ってはみてはいかがでしょうか。

その後、事務手続きなども行える体制(NPO法人の立ち上げなど)ができれば、民間企業の助成金も併用して活動の幅を段階的に広げていく方法があるかと思います。

まずは助成金や支援事業について、お住いの市町村や県の水産課等に問い合わせることが第一歩ではないでしょうか。また、支援事業については、直接関係省庁に問い合わせても対応していただけると思います。

最後になりますが、特に海を利用している漁業者がこういった取り組みを行うということは将来への不安や希望の現れかと思います。

また、今回のご質問者のように、若い漁業者が率先してこういった問題に取り組まれている背景として、これからも自分たちの仕事場として、またあらゆる人たちが自然と触れ合う公共の場として、きれいな海を守り、これからの世代に残していきたいという強い思いを持っていることがあるのではないでしょうか。

そうした思いを次世代につないでいくには、こうした活動を地道に行う姿を見せることが重要かと思います。そうすることで、地域住民などへの理解もすすみ、活動の幅も少しずつ広がり、将来の担い手である子どもたちにもその思いが繋がっていくのではないでしょうか。

若い漁業者がこういった問題意識や思いを持ち、自発的に活動を始められたことはすばらしいことだと思います。是非とも継続した取り組みを行なっていただくことを期待しております。

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