レジ袋有料をきっかけにプラスチックが海洋を汚染している問題を知りました。
中国を始めとするアジア圏ではプラスチックの受け入れ中止が続いていて、日本では廃プラスチックの行き場が問題になっているようです。
農業分野からもプラ素材廃止に向けてできることを始めたいと思うのですが、何かおすすめの取り組み方はありますか?
私はレタス農家で、現在栽培から納品までたくさんのプラスチックを使用しています。
多く使うのはマルチと梱包資材ですが、マルチなんかはすぐにちぎれてしまうので、知らぬうちに風で飛んでいってしまってることも……。
栽培上、マルチを使わないということは不可能なので、環境に優しい代替えの素材があると良いなと思います。
また、レタスにはプラスチックの梱包材を使用してきましたが、何か他の素材はありますか?
(宮崎県・河村雅裕 さん/仮名・40代)
本多英二
aula brand design(アウラブランドデザイン)
マルチをエコ素材に替えることでプラスチック素材をリデュース
圃場を歩いているとプラスチックの資材が多く目に付きます。
運搬カゴ、シート、ネットなど…自然と共にある農業とのギャップに違和感を感じつつ、この状況を改善していきたいという考えは素晴らしいと思います。
省エネにはリユース(再使用)・リデュース(ゴミを少なくするよう製造する)・リサイクル(再生利用)という3つの観点があります。
相談者さんの現場に照らし合わせて考えてみましょう。
マルチは使用中に破れてしまうため、リユースは難しいですよね。
プラスチック素材を回収してリサイクルするには、回収や廃棄にコストがかかってしまうなどの問題があり、リサイクルはイチ農家が取り組むには現実的ではないと言えます。
となると、リデュースから派生した「環境負荷の低い資材を使用すること」が最も取り組みやすいエコ活動ではないでしょうか。
現状のプラスチックに代わるエコ素材には、例えば生分解性プラスチック(微生物により分解され土に還るもの、一般ゴミとして廃棄可能)や不織布(紙繊維で編んだ布、燃やせる)があります。
お取引のあるJAや資材卸業者が適した資材を提案してくれるはずですので、ぜひ問い合わせてみてください。
デメリットとしては、高価であること。まだこうしたエコ素材は流通量が少なく、コストがかかってしまうのが現状です。
周辺の農家さん達と協力すれば、仕入れのコストダウンが期待できるかもしれませんので、これを機に周りを巻き込んで取り組んでみてはいかがでしょうか。
またレタスの梱包材については、新聞紙に包む、そもそも包装せずに販売するなどの方法が考えられますが、販売方法を変えることで購買に影響が出る可能性があります。
こちらは消費者の意識を変えていく必要があり、すぐに取り組むには難しい問題です。まずは生産途中でできることから取り組み、改善していきましょう。