熊本でトマトを栽培しています。最近、余っている畑を使わないかと声がかかり、新たに畑を借りてトマト栽培の規模を拡大することに。
今まで5,000㎡だった栽培面積は、約2倍に増えました。
おかげさまで、畑の規模拡大に伴い売上もアップ。しかし、収穫量の管理がこれまでと比較にならないくらい大変になりました。
収穫量が把握できないと次年度の売り上げ予測や対策ができず、不安定な農業を続けることになります。
しかし膨大な広さの畑で採れたトマトの収穫量を明確にするには、これまでと同じやり方だと膨大な時間と人員が必要になってしまいます。
そこでふと、IT化の進んだ現代なら収穫量についても時間と人員を抑えてデータ化することができるのではないかと思いました。
予定収穫量と実際の収穫量をデータ化し次年度の収量アップに繋げたいのですが、時間や人員を抑えられるデータ化の方法があったら教えていただきたいです。
(熊本県・久保和也さん/仮名・40代)
藤野直人
株式会社クロスエイジ 代表取締役
収穫量のデータ化におけるポイントは3つあります
農地拡大と売上アップ、素晴らしい業績ですね。データ化に取り組む際に考えるべきことは3つです。
まず「どんなデータ」が必要であるか。そして、ITシステム導入における「投資の判断基準」。最後に、データ管理は「誰がやるのか」です。
まず「どんなデータ」が必要なのかということですが、どういったデータを可視化すれば次に取り組むべき行動が見えてくるか、経営改善に効果をもたらすか、まずそれを明確にしましょう。
その際には、売上、収量の計画や実績を把握する「実績データ」、生産計画・作業実績・収穫量・出荷量などがわかる「プロセスデータ」、作業の抜け漏れチェックなどに必要な「異常値データ」、この3つのデータに沿って整理するとわかりやすいですよ。
次に、IT化をするための「投資の判断基準」について。IT化を進めるにあたり、どの程度の投資が必要か悩まれると思いますが、一般的な投資金額の目安は売上の1%といわれています。
例えば売上が年間5,000万円だとすると、投資金額は50万円。月々で考えると4万円程度がIT化の整備に使える計算になります。
最後のポイントは、データ管理を「誰がやるのか」ということですが、重要なのは経営者自らがデータ入力や集計業務をしないことです。
入力や集計作業は後継者や若手のスタッフ、幹部などにお願いして、経営者はデータ化する項目を決めたり、作業してくれるスタッフからヒアリングをして新たなルールや仕組みを考えたり、分析することに注力しましょう。
上記3つのポイントが整理できると、使用するツールについて選定しやすくなります。実際の導入前には、個別カウンセリングやセミナーを行なっている企業やサービスを複数社ピックアップし、具体的な話を聞いてみると良いかと思います。