京都府で20アールほどのハウスで万願寺とうがらしを栽培しています。
新規就農をしてから5年、収穫したとうがらしのほとんどをJAに出荷していますが、商品規格がかなり厳しいので悩んでいます。
味や安全性は変わらないのに、ちょっと曲がっているだけで、秀品から良品に降格したり、売りものにならない規格外品と判断されます。
秀品と良品とでは1kgあたり、本数あたりの単価が変わってくるので、利益を上げるためにも、できる限り秀品を作りたいと考えています。
そこで、万願寺とうがらしをなるべくまっすぐ、きれいに育てる方法を教えていただきたいです。
(京都府・西田さん/仮名・50代)
京都丹波もん
京都丹波もん
土壌物理性の改善、土壌診断、早めの摘果を心がけましょう
万願寺とうがらしの栽培中に「曲がり」が起きる原因には、肥料・水分・気温・日照量などさまざまな要因が考えられます。
対策としては、第一に土の物理性を改善して、根がしっかり張れる環境を整えれば、その分だけ、水分・養分を吸収する効率が良くなります。
次に、土壌診断を受けて、ミネラルなどを含めた肥培管理を行うようにしましょう。
最後に「ならせすぎ」も奇形果の原因ですので、少しでもおかしいと思った果実は、ごく小さいうちに摘果することが有効かと思われます。
龍 慶介
てしまの苗屋/てしま農園
万願寺とうがらしの水分不足や肥料が足りていない、成り疲れ、気温上昇などの原因が考えられます
当店でも万願寺とうがらしは人気の品種なので、同じような悩みを持たれている方も多いです。
とうがらしやピーマンの曲がりやシワが起きるのは、主に4つの原因があります。
第1に、水切れや水分が少ないこと。
第2に、肥料切れや肥料が少ないこと。これは追肥が遅れた時期や栽培中後期によく起きます。
第3に、成り疲れが原因の樹勢の低下が考えられます。ここでいう成り疲れとは、収穫初期には安定した収量を確保していても、最盛期に移ってから収量が減ってくる現象を指します。
最後に栽培環境下での気温上昇です。時期的にも、気温が上がってくる栽培中期以降に発生が多くなります。
ご相談者さんの場合、どの原因が当てはまるのか、栽培環境を振り返って原因をつきとめて、対策を考えましょう。
前述の注意点について具体的に補足しますと、万願寺とうがらしや甘とうの栽培では、水分や追肥を十分に行っていることが前提になります。
私の経験から言うと、栽培中期以降は、液肥を主体に、追肥を変えて、着果数を制限するやり方が、一番効果がありました。この場合、着果数の制限といっても、明確な決まりがあるわけではないので、とうがらしの曲がりが出た実を落とす程度と考えてください。
とうがらしは根を深く伸ばさないため、夏場の気温上昇によって根からの養分吸収が阻害されやすい作物です。
そのため液肥による葉面からの吸収を行い、樹勢の維持を狙います。
同時に気温上昇にあわせて、日射量を40〜60%程度削減(遮光)したり、株元に熱がこもらないように藁(わら)を敷いて、環境改善を行うと良いと思います。
肥料をあげすぎると、細根となり、かえって樹勢が弱くなるので注意が必要です。
また土質によっては、栽培中期以降に根詰まりしてくることもあるため、株周辺への土壌に棒などで穴をあけて、空気を取り込んであげることも有効です。
ご参考になれば幸いです。