夫婦で野菜や果物、花卉などを栽培しております。私は露地野菜を中心に、妻はハウスで花卉を、そしてぶどうやいちごなどの果物はハウスで夫婦一緒に育てております。
モットーは自分たちが食べたい農産物を丁寧に育てて、消費者の方々と味を共有することです。
病害虫予防については、石灰硫黄合剤をよく利用しています。
取り扱い注意の薬剤なので、周辺の農家で使っている人はほとんどいません。
しかし、私たちは苗や病変した部分にもササッとかけたりしています。もちろん皮膚への化学熱傷や周辺の金属物の腐食などに注意しつつ行わないといけないので、少し面倒ではありますが……。
散布は市販されている強アルカリ対応の噴霧器を使用しており、使った後は時間をあけずに水洗いしています。
しかし、すぐにパッキン類がダメになってしまいます。
使用後は水で洗うだけでは不十分なのでしょうか?かといって洗剤などを使うと思わぬトラブルが起きてしまいそうで怖いです。
噴霧器を長く使う手入れ方法を知りたいです。
(群馬県・我妻さん/仮名・40代)
松澤 努
農機具屋
噴霧機に入れる農薬の撹拌はキッチリと。散布後は洗浄を徹底しましょう
石灰硫黄合剤は昔から使われており殺虫殺菌作用がとてもよい農薬です。果樹関係では冬場の休眠期によく散布されます。
しかし、取り扱いには注意しなければなりません。
強アルカリ性のため、人体に付着した際には非常に危険で皮膚を侵します。目に入ると失明の危険もあります。
また、金属類を腐食させたり錆びさせたりします。石灰硫黄合剤の散布には噴霧機が必要となりますが、まずは最初に噴霧機の取り扱い説明書を今一度確認してみましょう。
『強アルカリ性の農薬は使用しないでください』と記載してある物もありますが、勘違いして使ってらっしゃる方も少なくありません。
パッキン類の交換についても、消耗部品が用意されていない場合もあります。
メンテナンス方法についてですが、一般的な果樹農家さんがやられている方法をお伝えしますので参考にしてください。
果樹農家さんはSS(スピードスプレイヤー)やセット動噴などを使って散布します。
散布終了後は速やかに車体、外装、薬液タンク内、動力ポンプ、配管、ホース、噴口等を清水でまんべんなく洗い流します。
時には中性洗剤を使ったり、各SSメーカーが販売しているSS洗浄剤を使って洗浄するのがいいでしょう。農薬の結晶を溶解除去できます。
詰まりは農薬が濃すぎたり、撹拌(かくはん)がしっかりできていないことが原因となります。
希釈倍数は厳守し、あらかじめバケツでしっかり撹拌して農薬タンクに注入しましょう。
パッキン類は消耗品だと割り切って、薬液が漏れ始めたら早めに交換してください。
また、農薬散布の内容に適した噴霧機を使うことも大切です。
噴霧機には金属製、樹脂製、人力式、エンジン式、バッテリー式などがあり、ポンプも低圧タイプから高い所まで農薬を飛ばせる高圧タイプまでいろいろあります。
石灰硫黄合剤は取り扱いや噴霧機のメンテナンスが大変な農薬ですので、石灰硫黄合剤に代わる農薬を探して使ってみるのもありかもしれません。