5年ほど前に親元で就農し、現在は父と私たち夫婦の3人で営む野菜農家です。
これまではすべて露地栽培でしたが、効率を上げること、野菜嫌いの子どもも食べやすい野菜を作ることを目標に、新しいことにチャレンジしています。
まず、ハウスでレタスなどの葉物野菜を周年で水耕栽培することにし、畑ではニンニクを作りはじめました。
出荷は道の駅や直売所、地元の飲食店などが中心です。
水耕の施設栽培については、冬場の作物を夏場と同じ品質で出荷したいと思っているのですが、青森の冬はとても寒いです。
日照時間も短くなるので、生育に時間がかかり、夏場と同じ大きさになるまでに、葉先が枯れてしまうことがあります。
こういった場合、どのような対策が有効でしょうか?
(青森県・小沢さん/仮名・40代)
北田 悠
悠々ファーム 代表
レタスの冬場の葉先枯れは「チップバーン」かもしれません。基本は養液濃度を下げましょう
冬場の葉先枯れは、「チップバーン」というカルシウム欠乏症状が原因であることが多いです。ECが高いと発生しやすくなります。
特定のため、カルシウムを含む微量元素の葉面散布をお試しになってはいかがでしょうか?
葉面散布用の微量元素肥料や、水耕栽培専用肥料も使えます。具体的には「OATアグリオ 5号」などです。
ただし、濃度に応じてダメージも大きくなるので、かなり薄めて葉面散布してください。
散布は2、3日間隔で、日中に行い、10日ほど様子を見てください。
その結果、新芽に葉先枯れが見られなくなれば、チップバーンと考えていいでしょう。
チップバーン予防は、養液濃度を下げるのが基本です。夏場は1.2dS/m、冬場は1.5dS/m以下で起こりづらくなります。
ただし、成長速度が下がるデメリットもあります。
また、養液濃度は下げても、微量元素欠乏症状を回避するため、微量元素の肥料濃度は下げない方が良いです。
相談者さんの場合は、「OATアグリオの1号・2号」は濃度を下げ、5号は下げません。
夏場は問題なく、水温管理も理想的で、栽培環境は良好だと思います。ですが、肥料濃度を高めで管理されていますね。これは、成長を速める目的でしょうか。
栽培を早めるには、Co2管理も有効です。Co2の高濃度施肥が効果的ですが、コストがかかりますので、不足を解消するだけでもずいぶん違います。
圃場によっては、Co2管理で、約2割も速く成長することがあるくほどです。
特に、密植していると、葉の裏などがCo2不足で光合成効率が低下し、成長が悪くなります。
施設内をムラなく空気を循環させたり、換気して外気を取り込んだりすると良さそうです。
ちなみに、私のハウスは比較的暖かい兵庫県宝塚市にあります。
リーフレタス通年栽培は、50日で150g~200gを目安にしています。
通年でECは1.2dS/mで管理し、1パネルに8株植えです。冬季の夜間のみ加温。飽差10以上で細霧冷房をしています。