ハウスでトマトを作っています。
コナジラミ類のトマト黄化葉巻病に悩まされており、以前に農薬を使って防除しようとしましたが、あまり効果がありませんでした。
そこで農業用防虫ネット(目合い0.4ミリの細かいタイプ)を導入しました。
効果がありトマト黄化葉巻病は激減したのですが、今度は別の問題がでてきました。
それは、防虫ネットが思っている以上に汚れて目詰まりしてしまうことです。
一応、水やりと合わせてシャワーのようにして流していますが、他にキレイに保つ方法はないのでしょうか?
(東京都・大塚さん/仮名・40代)
龍 慶介
てしまの苗屋/てしま農園
高圧洗浄機を使って定期的に洗浄。薬剤含有の防虫ネットには注意しましょう
汚れて目詰まりした防虫ネットを利用していると、風抜けの悪さから病気が発生しやすくなります。
地獄のような暑さが続くと、作物が高温障害を起こしてしまうリスクもありますね。
しかし、0.4ミリの目合いの防虫ネットですと非常に細かいので、土埃なども付着して汚れやすくなります。
当方ではシーズンごとに高圧洗浄機を使い、中性洗剤を薄めたもので汚れを吹き飛ばしながら洗浄しています。
あまり近距離から噴射してしまうとネットに穴が開いたり破れたりしてしまうので注意が必要ですが、この方法で5年ほどは問題なく使えます。
ただし薬剤含有の防虫ネットの場合は注意です。
高圧洗浄機によって薬剤効果が薄まってしまいます。事前にネットの特性を確認して行ってください。
神奈川県農業技術センター 生産技術部
神奈川県農業技術センター 生産技術部
光触媒酸化チタンによるセルフクリーニング機能の実用化に期待しましょう
神奈川県農業技術センターでは2008年から2011年にかけて、光触媒技術を使って防虫網の汚れや目詰まりを防ぐ技術の研究を行いました。
光触媒には主に酸化チタンという物質を使いました。
酸化チタンは顔料として幅広い工業製品で利用されており、セルフクリーニング機能による環境浄化が期待されている物質です。
特徴は1、紫外線を当てることで、汚れ物質である有機物を分解する機能、2、水を接触させることで汚れが落ちやすくなる親水化機能のふたつがあります。
太陽光には紫外線が含まれているので、研究では防虫ネットに酸化チタンをコーティングすることで汚れにくくなるかどうかを調べました。
具体的には2008年10月に農業技術センターの温室の外の雨が当たる側面に、光触媒を塗ったネットと塗らないネットを設置して比較する実験を行いました。
実験開始後3年を経過しても、光触媒のセルフクリーニング機能(汚れ物質を分解し、雨で汚れを洗い流す機能)が維持されることが観測されました。
結果として実用化や製品化までには至りませんでしたが、光触媒にはさまざまなものがあり、材料や塗布の方法などによって、効果が大きく変わると考えられます。引き続き、検討していく予定です。