愛媛県できゅうりや白菜、トマト、ピーマンなどの野菜や薬用植物、桑などを育てています。
農業をはじめて20年ほどは農薬を使っていましたが、10年ほど前から減農薬減化学肥料栽培を意識して試行錯誤しています。
最近、LEDの光を利用することで害虫防除が可能だという話を耳にしました。
インターネットで調べてみると、赤色LEDは害虫を防除する効果があり、青色LEDには殺虫効果、そして紫色LEDには害虫の天敵を誘引することができるらしいというのはわかりましたが、残念ながら害虫すべてに同様の効果があるのかどうかはわかりませんでした。
50代後半になり急激に体力も落ちてきましたので、光だけで害虫防除が可能ならば、作業的な負担もかなり減りそうで期待しています。
作物によって色を使い分ける必要があるのかどうか、それともまだ実用性は乏しいのか、気になることばかりです。ぜひ詳しく教えてください。
(愛媛県・越智さん/仮名・50代)
鈴木孝洋
株式会社シグレイ代表取締役/東京大学大学院農学生命科学研究科生産・環境生物学専攻 応用昆虫学研究室学術研究員/国際科学振興財団 時間生物学研究所特任研究員
天敵農法の成功率を上げ、天敵農法を導入しやすくする方法があります
まず、申し訳ございませんが、害虫全てに同様の効果があるわけではありません。また、作物によって色を使い分ける必要があります。
弊社の天敵誘引用LEDは、主に関東圏で露地なす、一部ハウストマトの天敵農法を導入されている農家様にご使用いただいております。
なすやトマトの害虫で知られる「アザミウマ」や「コナジラミ」の天敵である「ヒメハナカメムシ」や「タバコカスミカメ」を、紫色の天敵誘引用LEDで誘引・定着させることで農作物を守り、化学農薬を一切使用する必要がなくなることが期待されます。
弊社の天敵誘引用LEDは基本的には天敵農法の成功率を上げ、天敵農法を導入しやすくするためのものです。
天敵農法は高知県が盛んで、ハウスなす農家様の9割近くが天敵を利用されています。そして、天敵農法で成功されている農家様は、ほぼ害虫に対する化学農薬を使用する必要がなく、菌に対する化学農薬を数回使用する程度です。
天敵農法は少しずつ普及してきていますが、特に露地栽培で導入しようとすると失敗してしまい、殺虫剤をご使用になられることが多々あります。
その失敗の原因を分析したところ、天敵が農作物に定着しない、天敵が天敵温存植物から農作物に移動しない、ということがわかってきました。
そこで、天敵を天敵温存植物から農作物に移動させ、そのまま定着させるために弊社の天敵誘引用LEDを開発しました。
ご相談者さんの質問にありますように、LEDの光の色によって害虫に対する働きは変わります。
大阪府立環境農林水産総合研究所の柴尾学さんらの研究で、赤色LEDの照射でアザミウマの生息密度を抑えられることが報告されています。東北大学の堀雅敏さんらは、青色LEDの照射により、ハモグリバエなどの成長を妨げて致死させることを報告されています。紫色LEDの場合、アザミウマは誘引されにくいのですが、天敵のナミヒメハナカメムシが誘引されやすいことを農研機構(現・東京大学)の霜田政美さんらの研究チームが報告しています。
弊社では、殺虫剤を使わずに、害虫の天敵によって害虫を駆除する天敵農法が、普及するだろうと見込んで、紫色の誘引用LEDを開発しました。
これから天敵農法を導入する、天敵農法を試みているがうまくいっていない、といった農家さまに利用していただきたいと考えております。
寺田佳司
有限会社クール
LED照明を開発している者です。
端的に言って、ほとんど研究されていない分野で、これから伸びる分野だと思います。
対策を考えている害虫が決まっていれば、その害虫に対する効果がある波長などを探すのですが、作物によりどの波長の光が効果があるかは、残念ながら解答は見つからないと思います。
なぜなら、それが周知の事実であれば、とっくに栽培法としてテストされ、評価が出ていると思うからです。
まずは害虫として防除したい対象を決めましょう。
ただし光での害虫防除は、「ゼロ」にするのでなく「1/10」くらいにする事だと考えないと、予想を裏切られます。