地元で親から農地を引き継いで3年目になります。
普段は季節の野菜を地元に出荷している農家です。最近、引退した近隣の高齢農家から相談を受けて、農地を譲り受けようかと考えています。
せっかくなので何か新しいものを作りたいので、青パパイヤの栽培を検討しています。
この地域では、まだ栽培が珍しいものの、オシャレなエスニック料理店ではメニューによく使われているので、地産地消できるのではないか、と考えています。
調べてみると、青パパイヤは病気に強く、鳥獣害が少なくて育てやすいように思えました。
譲り受ける土地は8アールほど、日当たりは良いほうだと思います。
ハウスではなく露地栽培を考えていますが、初期設備や育て方のポイントなどがあれば教えてほしいです。
(愛知県・外山浩美さん/仮名・30代)
前田隆昭
南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授
青パパイヤ栽培はハウスがあれば冬季に育苗し、5月連休までに植え付け。しっかり管理すれば11〜12月ごろまで収穫可能
南九州大学の環境園芸学部で、熱帯の果物を中心に果樹栽培の研究をしている前田です。
近年、地球温暖化の影響で、パパイヤ等のトロピカルフルーツが脚光を浴びるようになってきました。
ご相談者さまは、青パパイヤに挑戦したいとのことですが、おっしゃる通り、タイ料理などの人気によって、青パパイヤも全国的に認知されるようになってきました。
沖縄県では、一般家庭の庭先でもパパイヤが植えられており、千切りしたパパイヤを缶詰のツナなどと一緒に炒める「パパイヤイリチー」などのメニューに利用されています。
しかし、鹿児島以北(奄美大島は除く)ではまだまだ知られていない作物です。
私もかなり前に本州の露地で青パパイヤを栽培した経験があるので、ご相談者さまがいる愛知県でも栽培することは可能だと思いますので、その経験から簡単に栽培手順をまとめたので以下を参考にしてみてください。
1:まずは、5月のゴールデンウイークが終わる頃までに、できるだけ大きなパパイヤ苗をポットなどで育てておきましょう。
もし、ご相談者さまが、小さなハウスで何か農作物を栽培されているのであれば、冬の間、ハウス内でパパイヤ苗を育てておかれると春先に大きな苗を定植することが可能です。
2:その後、露地に定植します。活着がうまくいって順調に生育すれば7月頃に小さな白い花が咲きます。パパイヤは成長がとても早いため、5月に露地に定植されてからは、しっかりと潅水(水やり)を行い、肥料も施用しましょう。
3:11月末から12月初旬の寒さが厳しくなる頃までに青パパイヤの実が収穫できるかと思います。
栽培の目安として時期を書きましたが、ご相談者さまが、愛知県のどのあたりで栽培される予定かわかりませんので、こちらはあくまでも一般論としてご理解ください。
例えば、愛知県でも、岐阜に近い内陸部であれば、定植は5月末ぐらいを目安として、収穫は11月上旬くらいまでに行わなければいけないかもしれません。
栽培計画は、お住まいの栽培エリアの気候にあわせて検討してください。万が一、台風などの自然災害に遭われた場合は、その年の収穫は厳しくなるかと思います。
4:露地栽培の場合、収穫が終わったら伐採して、また翌年の春に定植するという栽培体系でご対応ください。
パパイヤは種子でも苗でも販売されています。したがって、露地に定植する前年に購入した種子を蒔いて、冬場はハウス内で苗を育てて、暖かくなったら露地に定植するのがベストだと考えます。
ハウスがない場合は春先に苗を購入してから、露地に定植されてはいかがでしょうか?
ただ、その際は、寒さが厳しくなる11月下旬頃までに、青パパイヤが順調に生育して収穫できるかどうか、ご相談者さまの栽培圃場で1年間試験されることをお勧めします。
以上、私が思い当たる点をいくつか書きましたが、ご相談者さまの栽培環境や地域を把握できていないので、一般論にとどめますが、参考になるところがありましたら、取り組んでいただけたら幸いです。
上記の回答につきまして、何かご不明な点がありましたら、遠慮なさらず編集部までご連絡下さい。