山梨県でぶどうの果樹栽培や加工、収穫シーズンには摘み取り体験などを行っています。ぶどうの他にも何か栽培を始めたいなと考えているのですが、いま目をつけているのはキウイフルーツ。
東京では、三鷹市のキウイフルーツが特産品になっています。加工品としてはキウイワインも好評のようで、販売するとすぐに売り切れになるそうです。
キウイフルーツはニュージーランド原産ですが、国産キウイフルーツは、香川県でも栽培に力を入れていると聞きます。現在、キウイ栽培の北限はどの辺りなのでしょうか?
もし勝算があるなら、本格的に栽培に参入してみたいです。栽培に必要な設備などについて教えていただけないでしょうか。
(山梨県・寺村さん/仮名・44歳)
佐野栄治
果樹農家
北限は福島辺りまで。今後は「レインボーレッド」に注目してみてください
日本での主なキウイフルーツの栽培品種は「ヘイワード」になります。ヘイワードは品質にばらつきがあり、お店で扱いにくいのが現状です。
ですから、国内の栽培農家さんは品質の向上と、新品種の開発を目指し、販売は直売と収穫体験に力を入れるのがよさそうです。
東京都三鷹市で栽培しているのは「東京ゴールド」がメインだと思われます。
都心に近いことから、観光農園や直売には向いていますよね。キウイフルーツ栽培の北限に関する報告は確認できておらず、栽培地の高度にもよりますが、福島辺りまでは栽培できるでしょう。
しかし、キウイフルーツ全般に言えることは、原産国のニュージーランドを超える品種ができないと、今後日本では高値で出回らず、栽培面積は減少すると思われます。
その一方で「レインボーレッド」という品種は、かいよう病により栽培農家が減る一方で、ニュージーランド産と競合しないこと、果肉が赤く糖度が高いことから、山梨県の山梨市や市川三郷町など、栽培を広げている地域があります。かいよう病を克服できれば希望が持てます。
レインボーレッドは収穫時期が10~11月で、ぶどうと重なるため、ぶどうとキウイフルーツを合わせての収穫農園もよさそうです。
収穫後1週間から10日で追熟なしで食べられるので、収穫時に追熟したものを提供すれば、自宅でおいしく食べていただけます。
栽培棚は、ぶどうと同じ平棚か、設置しやすい門型棚をオススメしています。設備としてはヘイワード系であれば冷蔵設備、お歳暮用なら追熟庫、大量生産するなら選果機が必要でしょう(レインボーレッドは、選果機と収穫用のコンテナで十分です)。
半日以上の日照は必要で、強風地域なら暴風ネットか暴風垣があると理想的です。栽培環境、土質を選ばず、無農薬栽培もできます。
剪定方法は、私の著書「キウイフルーツ栽培法」でも書いているので、参考にしてみてください。