自然な生活にあこがれ、農業体験を経て就農して5年目になりました。小さいながら農地を借りてやっています。
現在は旬の野菜中心に栽培していますが、少し慣れてきたので、自分の好きなにんにくや香辛料関係の栽培に力を入れようと考えているところです。
昨年、試しににんにくを2千粒ほど植え付けましたが、見事に色ツヤのいいにんにくが採れました。育てたのは嘉定種が8割、福地ホワイト六片が2割です。
しかし、貯蔵で失敗してしまいました。収穫後は数日間の天日干しで乾燥させ、その後は新聞紙にくるんで-2度の氷点下貯蔵を行いました。
ちゃんと氷点下貯蔵していたはずなのですが、年末頃からにんにくの表面にシワが増え、商品にならなくなってしまいました。期間的には3〜4カ月を境にしてシワたくぼみが増えた印象です。
できれば多めに作りたいのですが、貯蔵失敗の原因がわからないままでは心配です。貯蔵にんにくの表面にシワやくぼみが発生しないコツを教えてください。
(埼玉県・野口さん/仮名・20代)
蛇岩真一
株式会社AGRIER・中小企業診断士
ニンニクのくぼみ症は、乾燥工程の良し悪しが強く影響します
くぼみ症の発生ですね。ご相談者様は貯蔵方法にミスがあったと考えていらっしゃるようですが、乾燥工程での失敗の可能性が高いと思われます。
具体的には「天日干しの際に気温が高かった」「蓄積した熱がこもってニンニクが高温になった」「天日干しの期間が長すぎた」などの要因が絡み合った結果です。
ニンニクは栽培後の乾燥工程の良し悪しが貯蔵性に直結します。
収穫後に数日間天日干しされたとのことですが、天日干しした時の温度が高すぎたり、適温だったとしても乾燥期間が長すぎると、その後に理想的な-2度の氷点下貯蔵でもくぼみなどの症状が多発します。
ニンニクを一定量生産されている方は、段積みした収穫コンテナをブルーシートなどでくるんで35度の温風を通す「シート乾燥」することが多いです。
シート乾燥専用のセット品も販売されていますが、市販のブルーシートと送風機(吸気用)、暖房機があれば安価に準備できます。
さらに昼間は35度、夜間は20度程度に下げる「テンパリング乾燥」をすることで、くぼみ症の発生を抑えることができるという研究結果もあります。
貯蔵自体は-2度ということなので問題はないと思います。ただ、-2度で貯蔵していても春先には根や芽が動いて(出てきて)商品価値が低下しますので、それまでに売り切ることも重要です。