沖縄本島でオクラの栽培をしています。
最近、友人からいただいたことがきっかけで、イチジクの栽培に興味を持ちました。
また、若い女性の間では、食物繊維が豊富なので健康にいいと言われて、ドライイチジクが人気だそうですね。
沖縄県というと、マンゴーやパパイヤ、ドラゴンフルーツなど色鮮やかな南国の果物でお馴染みですが、イチジクを作っている農家は聞いたことがありません。
JAに相談してみたのですが、「過去に取り扱いはあったが、内地と比べると品質が悪くて見栄えもしないし、日持ちがしないので、現在、県内で栽培しているところはないはず」と聞きました。
日持ちしなくて流通が難しいなら、現地で作るしかないなあと、まわりの農家仲間も興味を持っているようです。
オクラの収穫シーズンが過ぎたあとにやってみたいと思っているのですが、沖縄県で栽培する場合の栽培上の注意点や収穫時期などを教えてください。
(沖縄県・松原正史さん/仮名・40代)
安次富久美
安次富農園
いちじくの販路ルートを独自に開拓しましょう
沖縄本島南部の八重瀬(やえせ)町で、「熱帯のりんご」と呼ばれるグァバをメインに、インドナツメなどのトロピカルフルーツを栽培しています。
いちじくの生産も考えたことがあり、今も自家消費用に小規模に作ってはいますが、年に1〜2回の収穫で経営していくためには、それなりの農地面積と販売ルートの確保が必要なうえ、知名度を上げるのが難しいので断念しました。
いちじくは果樹なので成長するまで2、3年かかることも課題でした。また非常に繊細な果物なので、配送までに傷んでしまうのもなかなか難しいところです。沖縄は気温が高いため、配送に冷蔵を使うのでコストもかかります。
ご相談者さんはJAさんに相談したとありますが、もしJAの担当者から「品質が悪かった・見栄えがしない・日持ちがしない」などと言われた場合、生産者がどのように栽培しているかが問題になります。
私も以前、トライしたので「日持ちしない」という点は確かにありますが、ならば日持ちする品種を探して、いろいろと試してみることをおすすめします。
収穫時期についてのご質問ですが、現在、私が栽培しているのは「桝井ドーフィン」と言って、「早生日本種」と並んで、国内ではもっとも一般的に普及している、皮の色が紫がかった褐色の品種です。
夏秋兼用の品種で、沖縄では7月上旬から9月に収穫できます。夏果は、果実が大きくなりますが、収穫は少ないです。一方、秋果は果実の大きさは小ぶりですが、食味は甘く、収穫量が多いのが特徴です。
果樹は野菜と違って、何年も何十年も樹木として育ちます。いちじくの栽培では、収穫作業がしやすいよう、主枝を誘引して、整枝します。沖縄は他府県よりも害虫が多いので、カミキリムシ対策など気をつけなければいけません。
かつて挑戦した私個人としては、「適地適作」の言葉通り、その地に適した果物を作るのが良いと考えておりますが、相談者さんがどうしてもやりたいという気持ちが強ければ、JAさんに頼らず、独自に販売ルートを開拓することを考えてみてもいいかもしれませんね。