結婚を機にサラリーマンを退職し、妻の故郷で小さな農園をやっています。年間、60品目程度の野菜を露地栽培で育てています。
昨年、秋まきのそら豆栽培に挑戦したのですが、冬越しに失敗してしまいました。
そこで、今年は春まきそら豆(陵西一寸)に挑戦しようと考えています。
昨年は11月中に定植を行い、防風ネットなどで防寒対策はしたのですが、うまくいきませんでした。
冬場(12月・1月)の気温は最低でマイナス5度くらいで、最高は10度程度でした。
今回は1〜2月に種まき、2月後半に定植を考えています。
その頃だと暖かくなってきますが、最低気温が氷点下になることもあります。
今回は失敗したくありません。そら豆の寒さ対策でいい方法があれば教えてください。
(茨城県・北島さん/仮名・30代)
五十嵐大造
東京農業大学国際食料情報学部 国際食料情報学部(前教授)
そら豆の1〜2月播きはおすすめできません。ポットに播種し暖かい場所で育苗してから定植するなら可能ですが問題も
最初に結論から申しますと、そら豆の1〜2月播きはあまりおすすめできません。
秋まきの場合、ご相談者さんが茨城県のどのエリアに住んでいて、温度環境がどの程度なのかはっきりしませんが、相談内容に、12〜1月にかけての冬場の最低気温がマイナス5℃くらいで、最高気温が105℃程度だということなので、幼苗状態で越冬できるギリギリ栽培可能な環境だと推察してお答えします。
本来ならば秋に播種し、しっかり発芽させて幼苗期に越冬させるのが理にかなっています。
1〜2月種播を考えておられるようですが、ポットに播種して、ハウスなど暖かい場所で育苗してから定植する方法なら可能ですが、一方で問題もあります。
普通に行われる秋まきでは、幼苗期に冬の寒さに遭遇させて花芽分化を促すことが大切です。
1〜2月播種で育苗し、暖かくなってから定植すると、苗は低温に十分に遭遇できないことから、花芽分化が不十分で思うように花が咲かない、ということになりかねません。
幼苗期では耐寒性が強いことも秋播きをする大きな理由です。花芽分化の点と合わせて秋播きは理にかなっているわけです。
ただ耐寒性が高まると言っても、どこまで耐えられるかは地域の温度状況によって異なります。
2022年に秋まきで失敗した、とのことですが、凍害の被害に遭われたのでしょうか?
相談者の営農地域では、冬の最低気温がマイナス5℃とのことですので、かなり厳しい温度環境だと思われますが、そら豆栽培をするうえで大きな問題になるようには思えません。
実際に茨城県ではかなりの栽培面積があります。
ただ、そら豆は幼苗期にはかなり耐寒性が強いのですが、苗の生育状況によって異なるので何とも言えません。
同時に地域での温度環境を慎重に確認する必要があるように感じます。越冬させる株は寒冷紗(白)でトンネル状にべたがけ(うきがけ)したり、株元にワラを敷くなどの対応をとると低温対策に有効と思われます。