宮城の稲作地帯で稲作専業農家をやっています。最近は農業のスマート化ということで、県(試験場)や民間会社が圃場で新しい農業機械・機器の実演会などをよく行なっています。
参加してみて、特に関心を持ったのはドローンによる肥料や農薬の散布です。
均一に撒くには技術が必要とされそうですが、ラジコンで大きな機体を飛ばす面白さがあって興味が湧いています。
ドローンについては、最近操縦ライセンスの制度ができました。その詳細を見ると、田んぼなどの人のいない場所で、目視できる範囲を飛ばすのは免許の「二等」に当たるようで、その場合のライセンス取得は任意ということです。
田んぼの場合は目視外で飛ばすということはまずないため、任意であれば取らなくてもよいかなと思ったりします。
当然、民間の機関での講習会は受けるつもりですが、農業分野で操縦ライセンスを取るメリットはあるのでしょうか?
(宮城県・佐々木稔さん/仮名・40代)
糸野隆雄
株式会社セキド 営業2部 農業ドローン担当
2023年2月現在、ドローンの操縦免許取得のメリットはありません。農薬散布にはこれまで通り、事前申請すれば飛ばすことができます
「農業分野でドローンの操縦ライセンスを取るメリットは何でしょうか」というご質問ですが、質問者さんのご認識の通りで、現状で免許をご質問者さまがお取りになるメリットは全くありません。
免許やライセンスという言葉なので複雑に感じますが、ドローンの免許制度というものは車の免許制度と法律の成り立ちが全く異なります。
車の免許制度というのは"車の運転"そのものについて"運転の技量に免じて許可を出している"わけですが、一方の現行の改正航空法におけるドローンの免許とはドローンの"操縦全般"に対して、"操縦の技量に免じて許可を出す"わけではないということです。
では、何に対しての技量に免じて許可を出しているかというと、まずは「人口密集地域での目視外の完全自動航行」です。
つまり、渋谷の真ん中でドローンを使って配送業をしたい人に対して、改正前の航空法ではどう法律の解釈をこねくり回しても許可を出すことができなかったので、法律を改正して許可を出すための基準を新たに作ったということですね。
もうひとつは「国交省への事前許可申請なしでの特定の飛行方法の実施」です。
改正前の航空法では、例えば農薬の散布や、人または物から30メートル以内の飛行などといった、特定の飛行方法でドローンを飛ばしたい場合、必ず国交省へ事前に許可申請を出さなければなりませんでした。
申請を出す側も受ける側も大変な事務負担がかかるため、これを簡略化するために、"技量に免じて事前の申請をしなくても特定の方法で飛行する許可を出す"ことになったわけです。
ここまで読めばわかるように、基本的に改正航空法における免許制度というのは、"規制"ではなく"規制緩和"のために作られた法律になります。
規制緩和のために作られた法律なので、"今までできていたことができなくなる"ということはありません。
農薬を散布するといった特定の飛行方法でドローンを飛ばしたい場合でも、今まで通り国交省に対しての事前許可申請を出せば、今まで通りドローンを飛ばすことが可能です。
農薬散布が特定の飛行方法に当たるため、簡略化というメリットがあるなら免許を取ってみてもいいのではないか?と、お考えになる方もいらっしゃるかもしれません。
ここでご注意頂きたい点がございます。簡略化されるのは、「"免許"を持った人が"機体認証されたドローン"で"特定の飛行方法"を実施する場合に限られている」ということです。
つまり仮に免許を持っていたとしても、国交省が認めたドローン以外は、国交省に対して個別の事前許可申請を出さなければ飛行させることは出来ないのです。
この機体認証というのがなかなか曲者で、一般の方が市販のドローンを買ってきて機体認証の申請を出そうとすると、機体の安全性の証明をするための難解で多岐にわたる書類の提出を求められます。
そんなことを一般の方がするのはとても大変なので、それを簡略化する仕組みとして、"型式認証"というものがあります。
一般の方が行う難解な安全性の証明を、ドローンメーカーが国に対して事前に実施することで、そのメーカーのその型番のドローンを使う際には、機体認証を簡略化しましょうという仕組みです。
ですが、残念なことに、国が安全性を認めるということは生半可なことではないようで、2023年2月現在肝心の型式認証を受けている機体というものは1台もないのが現状です。
したがって、仮に今、免許を取得したとしても実質的に申請の簡略化はできず、"現状"で免許をとるメリットは全くないというわけです。
そもそも、国交省への事前許可申請はネットで簡単に行うことができ、慣れた方なら30分ほどの時間で1年間の包括申請をすることが可能です。
型式認証されたドローンが出てきて、そのドローンを使いたいと思うまでは、免許の取得については様子見するのが吉でしょう。
弊社では農業用ドローンを販売する際に、必ず使い方の講習を受けていただいております。
その講習さえ受けていただければ、1年に1回実施する包括申請を、お客様の代わりに弊社にて実施させていただくことが可能です。
そのため、国交省に対しての事前許可申請が面倒だとお考えの場合は、ぜひ弊社にてドローンの購入をご検討いただければ幸いです。
小野崎 佑一
本日の朝方、散布を予定されていがパイロット様がいまして、DJI T10の充電器が故障してしまった為ご相談があるのですが如何でしょうか?
dji flycart 30のイベント、ジャパンドローン展ではお世話になっております。只今千葉の方に来てまして、名刺を持ち合わせておらずこちらに投稿させて頂きました。小野崎