愛媛県の離島で、みかん農家の後継ぎとして働いている40代の女性です。
食いしん坊なので、自分が食べたいと思う果物を育てています。
離島の宿命なのかもしれませんが、うちの農園周辺は耕作放棄地だらけ。
土砂崩れした場所が、そのまま手付かずになっていたり、枝葉や下草は伸び放題です。
だから、周辺の耕作放棄地との境はもちろん、電柵が雑草で埋もれて猪に荒らされないように、私が除草しています。
初めは除草剤を撒いていましたが、除草剤は年に数回と使用回数が制限されます。
それに、春に肥料を与える場合、除草はその前に終わらせなければならないため、薬をまくタイミングも考えなければなりません。
今は、気付いた時ときに目立つ雑草を引っこ抜くなど、「手仕事」で対処しています。
でもさすがに、私ひとりでは限界があるんですよね。
どこかに相談したいのですが、どうすればいいのでしょうか?
(愛媛県・鈴木さん/仮名・40代)
耕作放棄地の会
Facebookグループ
ハーブ栽培やSnsでボランティアを募集!&ヤギのサポートで楽しく除草
畑にハーブを植え込んで、カバーする方法はどうでしょうか?
ハーブの一種、タイムの仲間の「イブキジャコウソウ」は、生い茂ると他の植物は育たない。つまり、ほぼ雑草が出てこないので、楽になると思います。
それと、新規就農というなので、ご自身の思いを共有しつつ、農業交流を広げるというイベントを開いてみるのも一案です。Facebookを活用して、除草イベントのボランティアを募集すれば、参加者と一緒に楽しく作業したり、果樹育成のサポートを得られるのではないでしょうか。
私も防風用にハウスのビニール張りをするために、Facebookでボランティアを募集して、2ヵ所で実施してもらいました。(瀧本さん)
ヤギを使った除草が良いですよ!農業の現場では、人の数は減る一方なので、動物に手伝ってもらいましょう。
もちろんヤギには完璧な除草はできませんが、残りの仕上げを人がやるんだ、と考えれば楽になります。最初のうちは、慣れるまでに少し手間が掛かるかもしれませんが、動物と協力しあって、楽しみながら作業するのも楽しいものです。(橋本さん)
地域振興課中山間地域・日本型直接支払い室
農林水産省 農村振興局農村政策部
耕作放棄地を活かすために、農水省の支援の活用を!
農林水産省では2021年から、活用されなくなった耕作放棄地の再生を目指す自治体やJA、地域協議会などに対し、補助金を出す「農山漁村振興交付金(最適土地利用対策)」という制度を始めました。対象となるのは、主に2つ。
1つ目の「農地等活用推進事業」は、地区面積20ヘクタール(中山間地域なら10ha)、整備対象農地1ha以上を対象にしています。専門家にも参加してもらったうえで、水田の畑地化やハウス栽培など、荒廃農地を解消することで収益を上げることを目指す取り組みに対して、計画を申請した団体に一定額の補助金を交付します。
2つ目の「低コスト土地利用支援事業」は、地区面積10ha(中山間地域は5ha)以上が対象。1つ目に比べたら収益性は低いものの、花を植えて養蜂をしたり、家畜の放牧など、あまりお金をかけずに土地を利用する取り組みを支援します。
初年度の申請期限は2021年4月末ですが、この先、2〜5年続ける事業なので、まずは一人で考えているよりも、市町村、JA、土地改良区、地域協議会、農地中間管理機構に相談してみてください。 農地は日本の重要な地域資源です。この制度を活用することで、荒廃農地の有効活用と課題解決につながることを願っております。