来年から地元の小中学校で牛の乳しぼり体験をすることになったのですが、そこに私が育てている乳牛を貸し出すことになりました。
小学校の校内に牛を運んで、学生たちに乳しぼり体験をしてもらうのですが、乳牛は繊細な生き物なので、子供たちの声や普段と違う環境にストレスを感じて乳が出なくなるのではないかと心配しています。
仮に乳を出さなくなってしまったとしても、自治体の補助があるので、お金の問題はありません。
しかし、牛が当日に乳を出さずに子供たちがガッカリしてしまうのではないかと不安に感じています。
事前にストレスへの耐性をつけておけば、乳がでないという状況は防げるのではないでしょうか?
ストレスに強くするには、どのような方法があるのか教えてほしいです。
(宮崎県・鹿島守行さん/仮名・40代)
一條俊浩
岩手大学 農学部 共同獣医学科 准教授
性格の安定した牛を選び、事前に牛の特徴を子供たちへ伝えましょう
牛は本来とても臆病で神経質な動物です。一方で好奇心が強く、じっと近くで立っていると牛の方から鼻を寄せてくることも珍しくありません。
知らない場所や知らない人と接するときはとても緊張します。それでも良く知っている飼い主さんがそばにいると安心します。
これは、我々獣医師が牛を診察するときにも同じです。
動物の特質を知り、優しく声をかけて少しでも動物の恐怖心を取り除き、十分なコミュニケーションをとることが(飼い主の方を含めて)診察する牛にもとても大切なことです。
まずは、前述の牛の特徴を子供たちにわかりやすく教えることです。
牛の周りで走らない、後ろ足の近くに立たない、牛に「やさしく」声をかけて牛を興奮させないなどを、体験前に子供たちへ伝えましょう。
そして、必ず飼い主が牛に寄り添う事で少しは安心してしぼらせてくれると思います。
その際、念のために「カウキーパー」という、蹴り防止の器具を用意しておくといいでしょう。ただし、この器具を装着することは牛にとってはストレスになります。長時間の使用は避けたいところです。
牛によっては神経質な牛もいますので、事前に性格の安定した牛を使用すると良いでしょう。