現在は鹿児島県内で会社員をしていますが、退職をして実家にある農地できゅうり農家をしたいと考えています。
始めるにあたり、露地栽培とハウス栽培のどちらがいいか迷っています。
ハウス栽培は初期費用も大きくなるし、鹿児島県という土地柄、台風などの災害で倒壊するのではないか心配です。
初期費用を抑えて露地栽培にするべきかとも思うのですが、ハウス栽培には補助金が使えたり、倒壊しても保険があると聞き、決めかねています。
きゅうり栽培を始めるにあたって、露地栽培とハウス栽培それぞれのメリット・デメリットについて教えてほしいです。
(鹿児島県・和田秀昭さん/仮名・30代)
イチロウのゼロイチ農業(旧さいこうやさい)
病気の少なさ、労力、収穫期間の点からハウス栽培がおすすめです
ハウスか露地かというご質問ですが、基本的にきゅうりは露地栽培に適していませんから、ハウスの方が、病気が少なく、長期にわたって収穫できます。
また、ハウス栽培であれば露地の3分の1程度の規模と労力で生産が可能です。
したがって、病気が少ない、収穫が安定する、長期間収穫できるという理由からハウス栽培をお勧めします。
取引先によって、ハウスでできない期間を露地でカバーするところもありますが、基本的にはひとりではできない仕事量なので、ハウスを選びます。
つまり、露地はハウスの補助で、メインはハウスです。 露地では生計を立てることはまず難しいでしょう。
鹿児島県はきゅうりが特産物になっているので、きゅうりを選ばれていることは、とても幸先が良いと思います。
薄利多売が基本なので、今後は同じきゅうりを作っている農家と組むことが必要になってきます。
農業は基本的にコストがたくさんかかり、売り上げ、粗利と共に低くなります。
農地の規模拡大に伴ってリスクが増えますから、ご相談者さんと悩みが共有できる仲間の農家さんと手を組むことをお勧めします。基準は、ご相談者さんと経営規模が近く、リスクを抑えられる範囲の方を選ばれると良いでしょう。
原田清弘
一般社団法人 京都府農業会議 京都アグリ創生 現地推進役
お住まいの市町村役場の農政担当課や県農業共済組合にお問い合わせしましょう
きゅうり栽培農家が、ハウスを設置する際に利用できる補助制度(国、県、市町村)については、お住まいの市町村役場の農政担当課にお問い合わせされてはいかがでしょうか?
代表的なのは、台風といった自然災害などに備えるために、園芸施設共済があげられます。
まずは、県の農業共済組合の本所もしくは各支所にお問い合わせのうえ、災害に備えて加入をおすすめします。
露地栽培とハウス栽培についてお尋ねがありましたが、下記に両者のメリット・デメリットを比べてみました。
1、露地栽培の最大のメリットは、初期投資が少なく、連作が回避できる点です。デメリットは、促成栽培ができないので、市場単価の高い時期に出荷できないなど、人為的にコントロールできない点と、雨や気温などの気候変動に対応するには、高い技術が必要な点です。
2、ハウス栽培は、年間を通して栽培が可能であり、外的な影響を受けにくく人為的にコントロールできることが最大のメリットですが、その反面、初期投資が多く、連作障害が発生しやすい点がデメリットです。
まずは、お住まいの市町村役場や県農業共済組合に問い合わせて、適切な補助金制度や保険等を案内してもらいましょう。