父の代から酪農業を営んでいる、2代目の酪農家です。
子供のころから牛は身近な存在で、常に牛と一緒に過ごしてきたのですが、発情のタイミングが未だによくわからないのが悩みです。
なんとなく理解しているつもりだったのですが、父と比べると誤認が多いように感じます。
これでは酪農家として仕事にも支障をきたしますし、何より周りの酪農仲間から「お前は酪農家に向いていないんじゃないか」とバカにされるのが辛いです。
父にも心配をかけており、そんな思いをさせてしまっているのも悔しいです。発情を見極めるコツをぜひ教えていただけないでしょうか。
(北海道・加藤雅也/仮名・30代)
一條俊浩
岩手大学 農学部 共同獣医学科 准教授
繁殖管理の基本は記録。生後月齢と分娩後の発情回帰をよく観察して
近年、牛の改良スピードは著しく、10年前の牛と比べて泌乳量は格段に増えています。
その結果、牛の発情行動にも変化が見られます。
特に、高泌乳量の牛は発情期間が短く、経験豊富な酪農家であってもその兆候を見逃す例が散見されています。
繁殖管理の基本は記録です。
通常、育成牛は生後13〜14ヶ月齢前後から人工授精が実施されます。
最近では増体型の牛が多くなり、12カ月齢でも発情兆候が見られるなど人工授精の時期が早まっています。
さらに繁殖適期に人工授精が実施されないと、妊娠が遅れることで、逆に泌乳量が低下する例もあります。
経産牛では、分娩後の正常な発情回帰(初回発情)は、いつごろかを確認・記録して、初回受精の時期を逃さず、観察することが重要になりますね。
初産分娩牛は80日以上、2産目以降は60日がひとつの目安とされています。
基本的な発情行動は、よく鳴く、ほかの牛に興味を示す、乗駕しようとする(人間相手でも)、粘膜が充血する、発情粘液を流す、匂いを嗅ぐ、腰をくねらす、エサを食べない、乳量が減少する、射乳しないなど、個体によって実にさまざまです。
また、何ら発情兆候を示さない牛も確認されています。
そのため、毎日漠然と観察していては、受精適期を逃してしまうでしょう。発情回帰予定にどうしても発情兆候が発見できなかった場合は、早めに獣医師もしくは直腸検査が出来る方に診てもらうことも必要です。
近年、多頭化による人手不足・観察時間の不足から、発情をコントロールする方法もあります。
オブシンクといわれるもので、受精卵移植時に発情同期化等で使用しますが、管理獣医師の指示のもとに積極的に利用している農場もあるようです。
デザミス株式会社
デザミス株式会社
牛の行動をリアルタイムで検知・分析・管理できるシステムがあります
牛の行動をリアルタイムに把握する、「U-motion」という弊社のシステム利用を検討してみてはいかがでしょうか。
U-motionとは、牛の首にセンサーをつけ、食事や飲水、反芻、横臥、動態などを24時間記録・管理するシステムです。
そのなかで人工知能が牛の異常を察知し、発情、分娩、起立困難などを発見、農家さんへフィードバックする仕組みになっています。
乳牛、肉牛のほか、繁殖牛にも対応しており、すべての畜種に対応可能。センサー自体は130g程度なので、牛へのストレスはほとんどありません。
例えば牛が発情している場合、センサーが牛の活動量増加を検知し、活動量以外の行動と合わせてAIで分析を行い、発情行動を農家さんにお伝えします。
分娩時も同様に、検知することができますよ。
現在では10万頭以上の牛に導入いただいており、そのなかでも特に好評いただいているのが、疾病アラートです。
乳房炎の検知や乳房炎になりかけている症状を検知してくれるため、牛の健康管理にも役立っています。
購入は、レンタル契約(当社ではリース契約)が可能です。リース契約の月額は、1頭あたり約800円から、契約期間は6年間となっています。
U-motionをご利用いただくにあたり、センサーのほか、牛の行動データを受信するレシーバや、レシーバー等を設置する工事、ネット回線の工事が必要となります。