すべてではありませんが、育てているとうもろこしが先端不稔(せんたんふねん)を起こしたり、コブ付きのものができたりすることがあり、それらは規格外品扱いになってしまいます。
できるだけ規格外品を減らすためにも、原因や解決策を知りたいです。
品種は「味来」で苗立てで露地栽培をしています。肥料は「フレッシュロングS407CN」、農薬は「アドマイヤー」と「モスピラン」を使用しています。
ドローンで防除をするので畝の間はあけていません。
(北海道・大川昭一さん/仮名・30代)
すべてではありませんが、育てているとうもろこしが先端不稔(せんたんふねん)を起こしたり、コブ付きのものができたりすることがあり、それらは規格外品扱いになってしまいます。
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松永邦則
パイオニアエコサイエンス株式会社 園芸種子部
とうもろこしの圃場の状態管理や交配時からの天候チェックを心がけましょう
とうもろこしの発育不良には、先端不稔やコブの発生があります。
まず先端不稔は、交配のタイミングがずれているために生育がバラついているのが原因だと考えられます。相談者さんは移植栽培(育苗)なので、移植後の活着がうまくいっていないのかもしれません。
移植後の活着がうまくいかない理由は、大きく分けて2つ考えられます。
ひとつは、マルチをしている場合に地温を15度程度に確保できていないこと。
もうひとつは、活着するまでの水管理がしっかりできていないことです。
もしどちらもしっかり行っており、それでも生育がバラついている場合は別に原因があるでしょう。
例えば、ほ場の形状も生育に影響を及ぼします。長方形よりも正方形のほ場のほうが花粉が均一に飛び、交配しやすいですよ。
ほ場の水はけの良し悪しや土壌の化学性のバランスも影響します。交配時に干ばつだったか雨が多かったか気象状況によっても変わってきますので、ほ場の状態をしっかり管理してみると良いかもしれません。
また相談者さんの畑では、栽植密度が10アールあたり4,400本とのことですが、「味来」を北海道で栽培する場合は、10アールあたり3,000本から、4,000本未満の栽植密度を勧めています。
少し本数が多い分、先端不稔が発生する可能性も考えられます。
次にコブの原因ですが、複数考えられるため一概にこれという理由をお答えすることは難しいです。ただ肥料が影響している可能性は高いと言えます。
相談者さんがとうもろこしに与えている肥料は、チッソ成分が、10アールあたり14㎏とのことでこれは問題ありません。だとすると土壌の塩基バランスが悪いか、たい肥が多く入っている可能性が考えられるので、一度ご確認ください。
コブは曇天や長雨、低温干ばつの天候時に多発する傾向があります。その場合は、微量要素やリン酸、石灰等の葉面散布をおすすめします。
幼穂形成期時に寒暖差があると、コブが生じる場合もあります。
さまざまなケースがあり対策もケースバイケースのため、なかなかこれといった解決策がないのが難しいところですね。
先端不稔やコブの原因を排除しても、実がデコボコするとしたら、単純に収穫遅れが原因でしょう。
適切な収穫時期は雄花の満開時(花粉が一番飛んでいるとき)から概ね25日程度ですが、正確には積算温度が関係します。
つまり満開から収穫までの期間が、平年の気温なのか、寒いのか、梅雨が明けた状況なのかで変わってくるのです。
仮に関東のように梅雨明けが満開時なら、25日でなく20日で仕上がります。
そのため、ひげの色とボリューム等の感覚で収穫適期を見極めるのではなく、交配からの天候を考慮し、交配後20日前後からは当たりをつけて味を確認しながら適期収穫を行ってください。
相談者さんは面積が広いようなので、味が乗っているのであれば気持ち若もぎから始めたらいかがでしょうか。
取り遅れは、しなびる要因にもなるので避けましょう。