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色彩選別機で心白米を判別する方法はありませんか?

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色彩選別機で心白米を判別する方法はありませんか?

京都府で、高齢の農家さんから委託されている分を合わせると、10ヘクタール程度の田んぼで米を作っています。

昨年から、乾燥機や色彩選別機を入れて調整作業を行っているおかげで、カメムシ被害による二等米はほぼなくなりました。

しかし、今度は米粒の中心に、不透明な白い部分ができる「心白米」が増えてしまいました。

色彩選別機で心白米を判別しようとすると、良米も飛んでしまうので困っています。

色彩選別機で上手に心白米をはじく(判別する)方法はありませんか?
(京都府・能重さん/仮名・40代)

佐々木茂安

日本のお米をおいしくしたい。佐々木農業研究会代表/農業経営技術コンサルタント

選別精度を上げることは可能ですが、まずは不良品の混入を減らすこと

籾は受精すると、細胞分裂を起こしてデンプンが蓄積されていきますが、この時期に高温や日照不足などのストレスにさらされると、デンプンが十分に詰まり切らないうちに、登熟(発育・肥育)が終わってしまいます。

デンプンが十分に詰まっていない米は、空気の隙間ができて、光が乱反射し、白く見えることから「白未熟粒(しろみじゅくりゅう)」とも呼ばれますが、これが増えると、評価が下がって収穫減につながります。

未熟粒の発生が増えている背景には、天候不順など、さまざまな異常気象が原因だと考えられています。

白未熟米を調べるための「色彩選別器」は、年々性能が向上しているので、ご相談者さんが現在使われている機械が、いつ頃のものかがまず気になるところですが、白未熟米を選別するには、選別項目の「シラタ」の感度を上げることで対応できます。

しかし機械の選別能力は、不良品混入率5%以下だとされていますので、被害粒や未熟粒が多量に混入していると、選別能力には限界があります。

また、白未熟粒以外にも、不良品も選別能力低下の原因です。

先述したように、機械の選別精度を上げると、それだけ収量が減ることになります。したがって、選別精度のアップには、まずは不良品の混入を少なくするのがオススメです。

ここで、基本に立ち返りますが、米の品質向上は選別機械のみに頼らず、まずは栽培管理から改善するのが優先課題だと思います。

デンプンを十分に蓄えた、美味しい良食味米を作るための意識はもちろん重要ですが、一方で、作物に本来備わっている栄養面や健康管理に対する意識が乏しくなっている傾向も見受けられます。

私が指導している生産者さんの間には、食味値に関係しているタンパク質の値を操作するため、窒素肥料の効果が早く切れるように栽培される人も少なくありません。光合成の源となる葉緑素は、葉に含まれる窒素(葉身窒素)濃度に比例して多くなりますが、二酸化炭素の捕獲量も窒素濃度とともに多くなります。

一方で、肥料効果が早く途切れると、光合成活動の低下も早まり、十分実入りが完了しないまま登熟日数を迎えてしまうことになります。

まずは、どの時期まで肥料を効かせないといけないのか確認することが必要でしょう。あわせて、土づくりもしっかり行いましょう。

昔から「苗半作(なえはんさく)」と伝わるように、稲作は苗の良し悪しで作柄の半分が決まるとされており、苗の活着や初期生育が重要です。まずは、移植後に効率よく養分が吸収できるよう活着促進に努めましょう。

それから、茎葉がかかる病害の発生も、形質不足や、青未熟・白未熟、胴割粒の米の増加につながります。特に注意する必要があるのは紋枯病で、すべての症状に関連します。

紋枯病は、多犯性病害といって、さまざまな植物に病気をもたらします。例えばホタルイなど水田雑草にもかかりますし、畦畔(けいはん)雑草などもかかることがあるので、有機栽培では石灰などで対策します。

一般的に早稲品種で被害が多いとされますが、茎の丈が長い長桿品種では影響が少なくなるので、品種の選定も重要です。

早稲品種は、植え付け時に風下だったところを観察して、出穂までに紋枯病の発生を確認したら防除をおすすめします。

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