最近はにんじんでもコート種子が販売されていて、発芽率もよいと聞きます。
これまで露地栽培では、にんじんの種をひと穴に3粒ずつ播いてきましたが、コート種子に替えて1粒播きにしてみようかと考えています。
今後、栽培する野菜の種類を増やしていきたいので、1粒播きであれば播種も楽で、間引きもいらないので、作業の手間を減らせるのではないかと思います。
しかし、本当に発芽するのか不安なので、育ってきた苗から丈夫なものを選ぶ方が確実な気もしています。
1粒播きでも確実に発芽させるコツはあるのでしょうか?
(愛知県・加藤通成さん/仮名・50代)
イチロウのゼロイチ農業(旧さいこうやさい)
にんじんの発芽を揃えるには、水やりに気をつければ、一粒まきでも問題なし!間引き不要で効率アップも
愛知県からのご質問ありがとうございます。同じ地域と気候なのでとても分かりやすい回答ができると思います。
言葉の様子から家庭菜園ではなく営利目的で農業されていると思いますので、「利益」を求めやすい省力化として回答していきますね。
結論として「1粒蒔きでOK」で、僕は1粒蒔き、2L中心の加工向けニンジンで10aで6tの収穫をしていました。
その経験から解説していきますね。
もちろんMLサイズ中心でも2tほどの収穫量を目指せて、効率化が可能です。
・ひと穴に3粒を1粒にして大丈夫かどうか
「ひと穴」という言葉からマルチでの栽培をされていると想像しました。有機JASや自然農であればマルチをしてひと穴にまいていくのは草の予防として効果的ですよね。
で、まず3粒を1粒にしても問題はないので、間引きは不要になります。
これは僕も15年ずっと経験してきたことで何も問題はありませんから、気を付けることは発芽をしっかり揃えるための水やりに注力するだけになり、間引きに必要な9月から10月の2か月間の間の時間をあけられて非常に効率的ですよ
・育ってきた苗から選ぶ方法は無難かどうか
もちろん、無難ではあります。
僕の師匠であるニンジン農家の方は地域でも有数の規模での栽培をしていますが、畑や種子の性質によってはいまでも間引きを行っています。
が…実際のところは間引きなしが今の主流になってきています。
僕自身は間引き作業はゼロで、クリーンシーダーでまいてしまっておわりです。
実際にやってみるとわかるのですが、間引きがなくともしっかりと根元までニンジンを太らせることで秀品率はあがりますし、重量も根先が丸く太り円柱状になると30gほど伸びますので、歩留まりが相当上がります。
間引きをすれば欠株が減るため収穫量の向上はするのですが、やはり人件費がめちゃかかる上、発芽が良好であれば面積を増やせば感じなくなるほど微々たる差なので株間を定め、狙うサイズを正確に収穫していくためにしっかりと1本1本を太らせることを身につけることで収益を上げ、間引きをなくして省力化しても問題はありません。
どうしても発芽が揃わない畑でのみ、間引きを取り入れますが…そこではニンジンを作らないという選択をすることで、間引きはなくせます。
・さらなる効率化には5cmでMLサイズ、6cmでL、2Lサイズが狙えますので播種機の使用をオススメします
今回の質問では「穴と粒の数」でしたので、手で点蒔きされているのだろうと思いました。
栽培面積にもよりますが、ニンジンを栽培するにあたって5㎝でびっしり揃える栽培を行うことで9割以上MLサイズを狙うことができます。
その場合は播種機を使うのですが…クリーンシーダーとコート種子の組み合わせがオススメです。理由は僕が使っていて上手くいっているからですね。
種まき機を使うことでマルチは使えなくなるので、太陽熱マルチで草を減らすか、除草剤を使用すると「ニンジンが5cmでびっしり生える畑」が再現できて、Mサイズばかり収穫できる畑が出来上がります。
この方法は有機JASでも可能で、僕がやっていた方法になります
・無農薬にこだわりがなければ、ゴーゴーサン乳剤を使うとより省力化
播種を行った後、その日または1日後までにゴーゴーサン乳剤を散布することでかなりの雑草を抑えることができ、間引き不要、草取り作業のかなり減らした作業工程を実現することができ、「手間が少なく、儲かるニンジンの畑」を作ることができます
参考になりましたでしょうか?うまくいくことをお祈りしております。