梨(日本梨)を父と一緒に栽培しています。先日、父がギックリ腰で動けなくなってしまい、収穫した梨を運搬することができなくなってしまいました。
そこで急遽、私の妻に手伝ってもらって運搬したのですが、肉体的にかなりキツかったせいでダウンしてしまいました。
父の腰の状態を考えると、今後も無理をさせらない状況です。かといって妻に頼むにしても、作業の軽減を考えないといけません。
いろいろ考えた結果、電動運搬車を新たに導入することにしました。
父はともかく妻は運転が苦手なので、簡単に扱えて、多少の凸凹した土地でも安定した走行ができる電動運搬車を導入したいのですが、どう選べばいいのかイマイチわかりません。
電動運搬車には手押しタイプとカートタイプがあるようですが、農園内は狭いので、小回りの効く手押しタイプにするつもりです。
しかし、種類がかなりあるようです。タイヤの3輪、4輪の違い、キャタピラ、本体の重さ、メンテが簡単など、何を優先して決めたらいいのかアドバイスをください。
(千葉県・山本さん/仮名・30代)
十時伸啓
株式会社リンク
電動運搬車の導入ポイントは安全性です。4輪かクローラーの付いた3輪を
運転が苦手な人向けの電動運搬車になりますと、やはり足回りがポイントとなります。
安定性を求めるなら4輪、またはクローラー(キャタピラー)の付いた3輪をおすすめします。
クローラーは小さい接地圧が特徴で、整地がしっかりとされていない場所でも対応できます。
また、舗装されていない道を走るのであれば、丸いタイヤではなくボコボコしているタイヤが良いです。
ボコボコの部分はラグと呼ばれていますが、高く交差しているラグが不安定な地面をしっかりとらえてくれます。
気をつけていただきたいのが、タイヤが3輪の運搬車です。価格的には安いのですが、斜面などでバランスを崩しやすいので危険です。
重さについては、搭載量についても検討が必要です。電動式の場合、バッテリーも含めて本体の重さは50kg程度と、それほど扱いに苦労しないと思いますが、一方でエンジン式と比べるとパワーが弱くなりますし、後述するエネトラ4ミニーは、120kgまでしか物を積むことができません。
農園内が狭いという理由で、少量の梨を運ぶのであれば、120kgでも良いと思いますが、効率面では、エンジンタイプの方が良いと思います。
また、電動式はバッテリーやタイヤの交換が必要になりますが、メンテナンス箇所が少ないので、そういう意味では扱いが簡単です。
ただしバッテリーが切れると、動かせなくなるので、バッテリーの残量には十分注意してください。
バッテリーが切れると完全に手押しで動かさないといけなくなりますから、たとえ、物を積んでいない場合でも、デコボコの道を重い運搬車を押したり引いたりして動かさなければならなくなりますので、バッテリー残量には常に注意が必要です。
先ほども紹介しましたが、個人的な意見を申しますと、相談者さんには「エネトラ4ミニー」あたりが合うのではないかと思います。
ご相談者さまは電動運搬車を導入することに決められているようですが、エンジン式でも最近はボタンひとつでエンジンがかかり、左右のターンも簡単で小回りの効くクローラーの運搬車も出ています。
「セル付き 運搬車」で調べていただくと出てきます。
安全性や使いやすさを最優先するのは当然ですが、収穫時のコンテナ数や重量なども加味して検討していただくのがいいでしょう。
運搬車は便利なので、ひとりで作業することもできますが、トラブルが発生した際はひとりでは対処しきれないこともありますので、可能であればふたり以上で作業を行っていただき、安全に注意して使用してくださいね。