神奈川県の三浦半島で幅広く旬の野菜を作っています。寒暖差があり、潮風で海のミネラルが運ばれてくる立地条件で露地栽培をしています。
とくに力を入れているのはキャベツ、サニーレタス、グリーンカール、ロメインレタス、フリルレタスなどの葉物野菜と、カブやレディーサラダなどの根菜類になります。
自分としてはキャベツが自慢なんですが、もっと良くできると思っています。課題はできるだけ柔らかく肉厚の葉っぱに育てること。
しかし、なかなか思うようにいきません。基本的な栽培方法はセルトレイを使った種からの育苗で、早春キャベツと春キャベツを中心に栽培し、大根の間作を行っています。土壌消毒は夏場に太陽熱を利用して行っております。
自分のやり方をイチから見直したいと思っていますので、どの辺に気を配れば柔らかく肉厚のキャベツを育てられるのかを教えて欲しいです。
(神奈川県・高橋さん/仮名・30代)
鈴木雅智
ブロ雅農園
柔らかいキャベツと肉厚なキャベツを両立させるのは難しいですが、葉面散布や施肥で変わることも
農業には正解はありません。私の方法がすべて正しいというわけではありませんが、同じ神奈川県の三浦半島の生産者ですので、参考にしていただけたらと思います。
かなり農業に詳しい方だとお見受けしますので、釈迦に説法なコメントになるかもしれませんが、よろしくお願いします。
まず結論から言ってしまうと、柔らかいキャベツと肉厚なキャベツを両立させるのは難しいです。
ご存じのとおり三浦半島のキャベツは、寒玉キャベツ→早春キャベツ→春キャベツという流れになります。
寒玉は肉厚でしっかりしており、早春キャベツは万能、そして柔らかくてみずみずしいことで知られているのが春キャベツです。
つまり、肉厚なキャベツを作りたければ寒玉系キャベツ、柔らかいキャベツを作りたければ春キャベツというイメージとなります。
柔らかくておいしいキャベツが作りたいならば、「金系201(サカタのタネ)」が最強だと思います。
このことをふまえたうえでアドバイスするとすれば、葉面散布剤(植物体に直接散布する肥料)は肉厚にするのに効果的です。積極的にした方がいいかもしれません。
また、化成肥料をやりすぎると窒素過多になり、場合によっては葉の厚みもなくなってしまいます。土壌診断を行って、土の状態を客観的に数字で見るのもおすすめです。
もし、化成肥料中心の栽培を行っているようなら、試験的に有機質肥料の施肥中心の畑を作ってみてください。葉の厚みなどに違いが出てくるかもしれません。
ご相談者さんはセルトレイを使われているようですね。私は「しっかり、がっちり」した苗をつくる方法として、苗床を使うことをおすすめしています。
セルトレイは使える農薬が増える、定植時に便利などの利点もありますが、水分管理などのしやすさ、根の張り方などは苗床の方が上だと思います。
太陽熱消毒をやられているならば、なおさら条件は良く、太陽熱処理のマルチをはがしたその上に、耕耘はせずにキャベツを直接播種することでよい苗もつくれます。
ただし全自動定植機を使用している場合は、セルトレイでしか栽培方法がないので苗床は不可になってしまいますが……。
その他に思いつくのは三浦半島の強い風から守ることでしょうか。三浦半島の潮風は畑の湿気を防ぎ、ミネラルを運んできてくれるメリットがありますが、やはり風の管理に神経を使うことは間違いありません。
そのため定植後から収穫間際まで寒冷紗をしている方もいるくらいです。