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クロマルハナバチが思ったように働かない。セイヨウオオマルハナバチとは特性が違う?

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クロマルハナバチが思ったように働かない。セイヨウオオマルハナバチとは特性が違う?

愛知県でトマトやきゅうり、なすなどをハウスで育てています。ハウスは中型10棟で、面積は150坪ほどになります。

以前、セイヨウオオマルハナバチを単棟ハウス間で移動させながら利用していた経験があります。

その時には市販されている小規模コロニーのボックスタイプのものを使っておりました。

セイヨウオオマルハナバチが特定外来生物に指定されてからは逃亡防止のネットなどをはじめ、管理がめんどうになってしまったので使うのを止めていました。

最近、息子が農作業を手伝ってくれることになり、あらためてクロマルハナバチを導入してみました。

小規模コロニーのボックスタイプのものを使っています。

しかしセイヨウオオマルハナバチのときのように簡単に巣箱にハチが戻ってこなくなってしまいました。どことなく飛びも悪いように感じます。

ハウスの温度設定は適正に保っています。以前と異なるところは、ハウスにUVカットフィルムを使っている部分でしょうか。

実際、クロマルハナバチとセイヨウオオマルハナバチの特性はかなり違うのでしょうか?
(愛知県・峯田さん/仮名・60代)

株式会社アグリセクト

株式会社アグリセクト

紫外線の感受性の違いが原因です。温度調整にも気を配りましょう

外来生物法により2006年にセイヨウオオマルハナバチの使用に制限ができ、新規の方は一切使用できなくなりました。

そのためにクロマルハナバチへとシフトしたわけですが、両者には性質の違いがあります。

セイヨウオオマルハナバチと同じように扱うと失敗します。

ご相談者様がおっしゃる通り、原因はUVカットフィルムです。

マルハナバチは紫外線を利用して活動する昆虫です。

UVカットフィルムや寒冷紗など、紫外線を遮る環境下では活動が鈍くなってしまいます。

セイヨウオオマルハナバチの場合はクロマルハナバチよりも微弱な光でも反応する性質を持っています。

さらに選抜したものを都合よく掛け合わせた結果、花に寄り付くようになりましたが、クロマルハナバチはそうは都合よく選抜がかけられなかったのです。

そのため、UVカット下の巣箱に戻れないのです。巣箱に戻らないクロマルハナバチは、明るさを求めて天井付近に集まって戻れなくなったり、側窓付近で死亡しているはずです。確認してください。

人間はクロマルハナバチに紫外線がないとNGという性質に合わせた環境を作らなければいけません。

蜂を人間に合わせるのではなく、人間が蜂に合わせるのです。

また、施設内の温度も重要です。マルハナバチの活動に最適な施設内温度は17~28度、巣内のもっとも快適な温度は28~30度です。

巣内を適温にすることで、巣の溶解や有働発熱、熱死も防ぐことができるので、巣箱周辺は活動最適温度を維持できるように対策してください。

例えば「日よけをして直射日光を防ぐ」「猛暑期は風通しの良いところに設置する」「施設中央など風通しの悪い場所は避ける」などを意識してください。

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齊藤雄紀

株式会社ビーコンシェルジュ

蜂のトラブルの原因を絞り込むなら、死骸がある場所を見つけ出すのが有効です

私はミツバチの養蜂家なので、マルハナバチに関しては専門外なのですが調べてお答えします。

環境省の資料によると、たしかにセイヨウオオマルハナバチよりもクロマルハナバチの方が紫外線カットフィルムに弱いようです。

農林水産省や民間企業でつくる「マルハナバチ普及会」が、クロマルハナバチでも利用できる資材名を紹介していますので、詳細はこちらの資料をご確認ください。

マルハナバチが利用する紫外線は360~400nmの紫外線領域ということなので、この領域の紫外線をあまりカットしないフィルムであれば使えるとあります。
上記PDFに商品名がありますが、メーカーとしてもまだ研究段階のようですから、ここで紹介されているフィルムなら確実に使えるというわけでは無いようなので注意が必要です。

相談内容にある「巣箱に戻って来ない」点が気になります。本来ほとんど光が無いような、薄暗い環境下でも巣箱に戻ることができるのがマルハナバチです。

巣箱に戻って来ないということは、フィルムのUVカットがどうこうではない可能性もあります。

出先で死んでいるか、外に逃げていると考えた方が現実的かもしれません。

ハウスのどこかに蜂が逃げだしそうな穴ができていたり、換気口の蜂逃走防止用ネットが破れたりしてはいないでしょうか?

また、農薬を使用しているのであれば、見直しも必要かと思います。セイヨウオオマルハナバチとクロマルハナバチでは、体の大きさが違うのもあって、農薬に対する抵抗力には、かなりの違いがあるはずです。

蜂を置いている期間中に薬を撒いていなくても、それ以前に撒いた薬剤の残留によって蜂が死ぬ可能性もあります。

例えばミツバチは葉っぱについた朝露をたまに舐めるのですが、散布からけっこうな時間が経っていても死ぬことがあると聞きます。

その他に考えられることは、与える頻度や量を見直すことです。クロマルハナバチはセイヨウオオマルハナバチよりエサを多く必要とするそうです。

問題の原因を絞り込むためには、蜂がどこで死んでいるかを確認するのがいいでしょう。

もし巣箱内で死んでいるとしたら、「何らかの事情で外に出られなかった」「外に出てもうまくエサを見つけられなかった」ということです。

つまりUVカットフィルムによる弊害や、気温や湿度等による病気が考えられます。

巣箱の外で死体が見つかる場合は、残留農薬等による死亡や、限界まで食料を探して力尽きたと考えられます。

死体がどこにもなかったとしたら、外に逃げたか、死体をネズミなどが運び出したことが考えられます。

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