農家になりトマトを栽培していますが、「CFプチぷよ」という新しい品種のミニトマトの栽培を始めました。
とてもおいしい品種で評判もいいので、来年も育てたいと考えています。
今年は種屋からF1種を購入して育てましたが、自分で種を取って育てても(F2種)同じような品質のプチぷよが育つでしょうか?
種から育てる方法や、種を取り出す方法を教えてください。
農家になりトマトを栽培していますが、「CFプチぷよ」という新しい品種のミニトマトの栽培を始めました。
とてもおいしい品種で評判もいいので、来年も育てたいと考えています。
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中島洋治
とまと家
F1種を自家採種し栽培すると、購入した種と同じ品質の果実は収穫できません
種から育てるメリットとデメリット
作物を種から育てるのは難しいと言われています。
時間がかかるということはもちろん、豊富な知識と経験が必要で、必ずしも成功するとは限らないからです。
まだ営農して間もないという方は、失敗の少ない苗から育てることをおすすめします。
農業は苗の良し悪しが収量に大きく影響するので、健康な苗を選ぶことが大切です。
しかし、種から育てるメリットもあります。
一般的な品種であれば、1袋購入すると50粒〜100粒ほどの種が入っています。営利栽培用の大袋では1000粒ほど入っている場合もあります。
大量に定植するのであれば、種から育てたほうが経済的と言えるでしょう。
珍しい品種の種は少量しか入っておらず割高になるため、苗から育てる方も多くいます。
種と苗の育て方の違い
トマトの種と苗の育て方の違いについて、簡単に確認しましょう。
種から育てる場合
まずトマトの種から育てる場合、夜の気温が15度以上になる3〜4月頃に種まきを行い、4〜5月中旬頃に植え付けを行います。農家さんの場合、128〜200穴のセルトレイへの播種が一般的です。
地温は日中25〜30度、夜間は18〜23度程度を目安に管理しましょう。
日中の温度が20度以下でも発芽する場合はありますが、発芽までに日数がかかるので、注意が必要です。
種から苗に成長するまでに重要なのは温度と水やりです。
発芽するまでは底面吸水で優しく水やりを行い、本葉が出て株がしっかりしてきたら上からしっかりと水をあげましょう。
種から苗に成長するまでに重要なのは温度と水やりです。
発芽するまでは底面吸水で優しく水やり(床面まで浸水していることを確認)を行い、本葉が出て株がしっかりしてきたら上からたっぷりと水をあげましょう。
苗から育てる場合
苗から育てる場合は、ホームセンターや通販などで苗を購入します。
おおよそ4月頃から苗の販売が始まりますが、植えるタイミングは1段目の開花前後となるため、1段目が開花前の状態の苗を選びましょう。
健康で良い苗かどうかを見極めてから、購入しましょう。
プチぷよの具体的な栽培については、こちらの記事をご覧ください
トマトの新品種CFプチぷよを栽培したい!育て方を教えてください
CFプチぷよの種の採取方法
CFプチぷよの種の取り方は、一般的なトマトと同じです。基本的な流れを見ていきましょう。
収穫した完熟トマトを追熟する
収穫する際は、なるべく完熟させてから収穫します。全体に赤色がまわってから1週間以内を目安に収穫しましょう。
2週間ほど追熟させることもありますが、熟すスピードは温度に関係するため、夏であれば1週間程度、秋や冬なら2週間程度が目安になります。
種を取り出し、周りのゼリーを落とす
まずはトマトを半分に切って、ピンセットなどで種を取り出します。種の周りについているゼリーを落とすために、水でよく洗います。
種をざるに入れて水につけながら揉むと、取れやすくなります。
ゼリーが完全に取り切れない場合は、ペーパーなどで優しく拭き取りましょう。
選定する
きれいになった種を水に沈めて、浮いてこないものを採用します。この時点で浮いてきた種は使用しません。
種を乾燥させる
キッチンペーパーや新聞紙などの上に並べて、乾燥させます。日陰に置いて3〜5日ほどで完全に乾くでしょう。
保存方法
乾燥させた種は、密封袋にいれて保存します。乾燥剤を一緒に入れておいても良いでしょう。
CFプチぷよ F1種とF2種の違い
F1種からさらに種を取って育てる(F2種)のは、「栽培して実をつけることは可能」ですが、注意が必要です。
優性の法則によって「親の優性部分のみを発現する」という性質があります。
この性質により、形や大きさ、見た目などの揃った野菜が生産できるのです。
しかし、F1種から種を採って作ったF2種には、F1種の特徴がそっくりそのまま現れることはなく、一部性質が受け継がれないようになっています。
つまり、品質や一定の収量を安定的に得るためには、F1種を育てることが最たる近道なのです。
こうした理由から、CFプチぷよに限らず、F1種が広く採用されています。
しかし、F1種の採用は絶対ではありません。余裕があれば、挑戦してみてもいいのではないでしょうか。
このお悩みの監修者
中島洋治
とまと家
国内種苗会社に入社後、原種トマトの知識を深めるため南米にトマト留学。帰国後はビル屋上でのトマト栽培や海外のトマト栽培コンサルタントを行う。「トマトがあれば〜何でもできる!」を合い言葉に、「とまと家」としてトマトの魅力発信活動を主催。