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菌核病の発生原因や条件は?

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菌核病の発生原因や条件は?

3年前に新規就農をして、野菜や果樹を栽培している農家です。

まだ被害にあったことはないのですが、農家の寄り合いで「菌核病に注意したほうがいい」という話を耳にしました。

菌核病という病気は聞いたことがなかったのですが、進行が早く、圃場に広がると一気に収量が減ってしまうので、とにかく注意すべきだとか。

菌核病は何が原因で発生するのか教えてほしいです。

李 哲揆

データサイエンティスト

菌核病は15〜20度で湿度が高いときに発生します。また作物についた傷も原因となります

菌核病が発生する原因


菌核病は、糸状菌(カビ)の一種で、菌が作物の葉から侵入、感染することで発生する病害であり、キャベツでは特に被害が多いです。

作物の組織内に菌糸が密集してできる黒い塊を菌核と言い、菌核病が発生する元となります。

病害が発生する流れは以下の通りです。

・病原となる菌核が宿主の作物から地面に落ちる
・15~20度になる春や秋に発芽して感染源となる胞子を作る
・胞子が風に運ばれて近隣の作物に付着する
・作物に傷があると、傷口から侵入・感染し、病害が発生する


病原菌は土壌中で2~3年もの長い間生き延びることができます。

すでに菌核病に感染している、または菌核が付着した作物から、胞子が風に流されることで他の作物に感染します。


菌核病が発生しやすい条件


菌核病の主な発生原因は感染した作物によるものですが、菌核病の元となる胞子が育ちやすい環境により感染を招くことも考えられます。

菌核病が発生しやすい条件は以下の通りです。

・風通しの悪い場所
・害虫の食害痕がある作物



風通しの悪い場所


前述のとおり、菌核病の原因はカビなのでジメジメしたところが大好きです。

菌核病の元となる胞子は、作物に付着した後、葉の基部など湿度が高い場所で発芽する傾向があります。

風通しの悪い環境では湿度が高くなりやすいため、菌核病の発生を招いてしまう恐れがあります。

夏場のような極端に湿度が高い時期に発生する場合もありますが、胞子が発芽するのは約15~20度の春か秋頃が多いです。

この時期に多雨が続くと湿度条件が病原菌に好適になるので、発生が多くなります。

春か秋頃に作物を植えつけている場合は、株と株の間隔を充分に空けるなど、風通しの良い環境作りを心がけましょう。


害虫の食害痕のある作物


菌核病菌は作物の傷口から侵入することで感染を招きます。

傷口は栽培の作業時に付けてしまう場合もあるので、注意しなくてはいけません。

また、害虫による食害痕には特に注意しましょう。

食害痕による傷口から菌核病の感染を招くだけでなく、他の細菌類による病害を引き起こす原因にもなり得ます。


菌核病の病菌発生を防ぐことが重要


作物が一度菌核病に感染してしまうと、感染後の治療は困難です。感染した作物は処分するしかありません。

また、周囲の作物にも感染を拡大させてしまうおそれがあります。

そのため、菌核病の対策は感染してからではなく、感染する前に行っておきましょう。

菌核病の対策方法や土壌消毒についてはこちらをご覧ください
菌核病の対策方法を教えてください
菌核病を対策するために、土壌消毒方法についてアドバイスをいただけませんか

このお悩みの監修者

李 哲揆

データサイエンティスト

名古屋大学大学院生命農学研究科にて博士(農学)を取得。東北大学、東京大学、理化学研究所などを経て、2018年からは東京農工大学生物応用システム科学府にて助教を務める。主な研究テーマは土壌微生物を用いた環境に優しい農法の開発。2021年4月から民間企業でデータサイエンティストとして働く。

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