いま働いている水産会社ではブリを養殖していますが、ほかの養殖場に移動することになり、トラフグの養殖に携わることになりました。
トラフグについての知識はこれから身につけていこうと思いますが、まずは基本的なこととして、餌の種類ややり方について知っておきたいです。
餌はブリと同じと考えて良いのでしょうか?与えかたなど、工夫すべきことがあれば教えて欲しいです。
いま働いている水産会社ではブリを養殖していますが、ほかの養殖場に移動することになり、トラフグの養殖に携わることになりました。
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中平博史
全国海水養魚協会 専務理事
トラフグ養殖の餌は2種類。様子を見ながら回数や量を調整して与える必要があります
トラフグ養殖の餌の種類
トラフグ養殖時に使用される餌にはドライペレット(DP)、モイストペレット(MP)があります。
それぞれの特徴と、餌を与える際の注意点について紹介します。
モイストペレットの特徴
モイストペレット(MP)は、水分を含んだ固形飼料の特長を持つエサです。
生魚と粉末配合飼料に栄養剤を混合して粒状にしたものが一般的で、トラフグの口の大きさに合わせて大きさが選べます。
小魚など生の餌と比較すると栄養バランスも良いうえに、食べ残しが少なく、環境汚染への影響も最小限におさえられるのが特徴です。
品質の安定性もよく、生の餌と比較すると魚の栄養管理がしやすいというメリットもあります。
ドライペレットの特徴
ドライペレット(DP)はモイストペレットと真逆のタイプで、水分を含まない乾燥した餌です。
品質は生の餌やモイスペレットと比較するとさらに安定しており、モイスペレットと違い常温保存が可能で、環境汚染への影響がさらに少なくなります。
乾燥しているので扱いやすく、タイマー付きの機械などで自動的に給餌しているケースもあります。
トラフグ養殖での給餌における注意点
天然のトラフグは、カニやヒトデ、藻類などの毒のある生物を捕食し、外敵や寄生虫などから自分の身を守るためにテトロドトキシンを体内に蓄積しています。
しかし、本来トラフグは体内でテトロドトキシンを作り出す性質を持っていないため、養殖のトラフグは体内に毒を蓄積できず、個体にストレスがかかりすぎてしまったり、体内に寄生虫がすみついてしまう可能性があります。
毒を持たないふぐはストレスがたまりやすく、個体同士で噛み合いをして死んでしまうケースもあります。
養殖の場合は無毒で育つことがほとんどのため、寄生虫の予防に加え、トラフグ個体のストレス軽減のためにも、栄養バランスの良い餌を与えるようにしましょう。
餌の与え方
養殖のトラフグは、基本的に出荷できるまでには2年ほどかかります。
まずは、はじめの年の4~6月ごろに種苗を購入し、養殖池に入れます。
養殖をスタートした当初は1日に5~6回程度給餌を行いますが、成長するに従い、回数を徐々に減らしていきます。
育てているトラフグをどのくらいの大きさにしたいか、そして季節や養殖する環境によって餌の種類や給餌回数を調整します。
トラフグに極力ストレスをかけないようにするだけではなく、与える餌自体のロスを出さないように注意が必要です。
さらに、餌を与える間隔は未消化のまま排泄されることなく、環境に配慮した間隔で行います。
常にトラフグの消化が十分に進んでから餌が与えられるよう、常に十分に消化が進んでいる時間間隔で行います。
フグ養殖の方法についてはこちらもご覧ください
「フグの養殖が行われている地域や養殖方法が知りたい」
このお悩みの監修者
中平博史
全国海水養魚協会 専務理事
全国海水養魚協会の専務理事や一般社団法人マリン・エコラベル・ジャパン協議会の理事を務める、魚類養殖業のプロフェッショナル。養殖水産物の輸出や赤潮などの環境保全対策活動にも携わっている。