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うちでも育てられますか?梨栽培の適地を教えてください

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うちでも育てられますか?梨栽培の適地を教えてください

知り合いの梨農園が世代交代するので、使わなくなった苗を貰い受けることになりました。

うちの圃場には使っていないスペースがあるので、そこで梨を育てたいと考えています。

しかし、うちの周りに梨を栽培している農家はおらず、そもそも土壌が適しているのかもわかりません。

どのような場所が梨の栽培に適しているのか、教えていただけないでしょうか。

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

梨は日照時間が長く、生育期間の気温が高めの地域が適しています

梨栽培の適地


梨は、一般的に年間の平均気温が12〜15℃の地域で栽培されています。

生育期間である4月~10月の平均気温は、19~21℃と比較的気温の高い地域が適している作物です。

梨は生育期間の気温が高いと、糖度が高くなるという特徴があります。

また、梨栽培では日照時間が長い地域が適しています。

日照時間が長いと、光合成が盛んになり、枝梢、根、果実が生長し、充実します。

主産地の年間降水量は、1,200〜2,000mmと日本の中では平均的です。

しかし、春先の3月~4月の間に土壌が乾燥すると、発根や発芽が抑制されてしまいます。

春先に土壌が乾燥しない程度の雨量が見込まれる場所が望ましいでしょう。

冬の気温が極端に低下する地域は、凍霜害が発生する恐れもあるので、適地とはいえないでしょう。


梨栽培に適した環境


梨栽培の土壌は、pH5.5〜6.0 の弱酸性が望ましいです。

また、地下水位が70cm以下の排水の良い土壌が好まれます。

排水の悪い環境では、生育障害を引き起こすほか、肉質や果実の外観不良が見られる場合があります。


梨栽培が盛んな地域


日本の梨栽培は、北海道から九州まで広い地域で栽培されています。

主産地は、千葉県、茨城県、栃木県の関東を中心とした地域です。

千葉県

土壌に火山灰が多く良好な水はけの栽培環境

茨城県

昼夜の寒暖差が大きい

栃木県

夏と冬の寒暖差が大きく、日照時間が長い


茨城県や栃木県は、生育期間の気温が高い地域が多いため、糖度の高い梨を栽培する環境に適していると言われています。

梨の主な産地は千葉県ですが、千葉県の土壌は火山灰が多く排水が良好な点が強みです。

それぞれ気候の特徴を活かした栽培が行われています。

基本的な栽培方法についてはこちらをご覧ください
梨はどう栽培を始めるべき?基本的な栽培方法から注意点まで知りたいです



品種ごとによる適地の違い


一般的な日本の梨と違って西洋梨は、気温の低い地域で栽培されている傾向があります。

西洋梨の場合は、年間の平均気温が6~14度と寒い地域が適地とされています。

また、西洋梨は昼夜の寒暖差が大きく、雨の少ない地域であることも必要です。

そのため、日本の西洋梨のほとんどは、冷涼で雨が少ない山形県で栽培されています。

このお悩みの監修者

前田隆昭

南九州大学 環境園芸学部 環境園芸学科 教授

琉球大学農学部を卒業後、和歌山県庁に入庁して農業改良普及所の技師や、果樹試験場の研究員などを歴任し、2009年退職。同年、農業生産法人「有限会社神内ファーム21」に入社し、南方系果樹の研究を経て、2015年から南九州大学環境園芸部果樹園芸学研究室の講師に。2021年同大学・短期大学の学長に。2022年5月、学長退任後も教授として引き続き学生を指導する。

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