ライチ栽培の北限地域はどこまでですか？

ライチ栽培は施設で生育管理を行えば、秋田県以北や北海道であっても栽培は可能です

ライチの性質

ライチは、高温多湿を好む性質があり、日本では九州地方や沖縄県を中心に生産されています。

日当たりが悪い場所で栽培したライチは、軟弱になり、開花しなくなるため、日当たりの良い環境で栽培しましょう。

亜熱帯果樹であるライチを日本で栽培するうえで、北限としてはどの地域まで栽培可能なのかご紹介します。

本州の内陸・東北・北海道でのライチの栽培は難しい

露地栽培でライチを育てる場合、本州から東北にかけての内陸部や秋田県以北、北海道では難しいでしょう。

ライチが成長するために最適な温度は20～28℃です。暑さに強く、寒さに弱い果樹であるため、寒冷地での露地栽培では、冬を越すことができません。

温度管理を徹底し、温暖な環境を作り出しやすい施設栽培をおすすめします。

ただし、秋田県以北や北海道であっても、施設栽培で上記の最適温度を設定できれば栽培は可能です。

しかし、豪雪地帯や日当たりの悪い地域では、品質の良いライチを生産することはできません。

同時に冬場の気温が低い地域で栽培すると、施設の加温代が高くなります。

栽培適地についてはこちらをご覧ください
「ライチの栽培適地について教えてください」

露地栽培では霜をつけないようにする

北限地域でライチを栽培する上で注意したいのが、果樹に霜が付着する「霜害（そうがい）」です。

霜害によって果樹が凍結したり、傷んだりして、 最悪の場合は枯死してしまいます。

低温によって作物が凍ってしまう「凍害（とうがい）」とともに、「凍霜害（とうそうがい）」に注意しましょう。

霜害が発生しやすい季節は秋から春

霜は秋から春にかけて発生しやすく、特に注意したい時期は4月です。

4月はライチの開花期にあたり、新芽に比べて寒さに耐えることが難しい状態となります。

遅霜にあたると、凍って枯れてしまう危険があります。

また、土手や防風林の近くなど、風の通りが悪く、低い土地は霜害が発生しやすくなります。

このような場所では、露地栽培ではなく、ビニールハウスによる施設栽培を行いましょう。

基本的に降霜のある地域でライチを栽培する場合は、施設栽培をして下さい。

特に冷え込む地域ではビニールを二重にしたり、ヒーターや保温フィルムなど防寒対策グッズを活用して、ライチを霜害から守りましょう。

ライチ栽培の冬越しにおけるポイント

ライチの越冬を成功させるためには、7℃以上の温度を保つことが大切です。

ライチは、氷点下になると枝や葉を落として衰弱してしまいます。

しかし、温度を高く設定し過ぎて生育にはよくありません。

なぜならライチの開花スピードが早まってしまうからです。

あまり早く開花させると果実の品質低下に繋がってしまうため、10～13℃の温度を保ちましょう。

越冬させる方法についてはこちらをご覧ください
「ライチを越冬させる方法について教えていただきたいです」

ハウス栽培では換気を心掛ける

ライチを施設栽培するうえでは、換気を徹底することが大切です。

秋から冬にかけては、ライチが花芽を形成する時期に差し掛かります。

たくさん結実させるためにも、湿度を低く設定して乾燥ぎみに栽培しましょう。

また、ライチの花芽を形成（分化）するためには、10℃前後の低温を必要とします。

ハウス内を低湿にしなければならないため、寒い時期でも昼間はビニールハウス等のサイド（側面）や妻面（入口付近）を開放し、換気を行う必要があります。

ビニールハウスを開閉したり、換気扇や換気窓を設置したりして、効率よくハウス内を換気しましょう。